「めだかの学校」の童謡があるほど大昔は全国各地津々浦々で見かけることのできたメダカ。ところが近年猛スピードでその姿を消しています。80年代初頭から姿を消し始め、遂に2021年現在は環境省レッドデータリストに於いて『絶滅危惧種』と記されてしまいました。
一体メダカに何が起こったのでしょう!?
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<目次>
メダカが絶滅危惧種に認定された理由 |
メダカが絶滅危惧種になった原因 |
ニホンメダカは絶滅した? |
ニホンメダカの2種!キタノメダカとミナミメダカ |
まとめ |
目次
メダカが絶滅危惧種に認定された理由
まず個体数の圧倒的な減少が最大要因です。
ただ公的に環境省が『絶滅危惧種』に認定したのには他の理由もあります。
実はメダカは遺伝的多様性が強く、地域毎に「亜種」と言っても過言ではない様々な多様性を持ちます。
1999年当時の環境庁は絶滅危惧II類とメダカを認定します。これを受け人工孵化や放流など各地域で保全の取り組みが活性化しますが、実はその基本が正しくありませんでした。
きちんとした指針を示していなかったのです。
その為、遠く離れた地域やその地に生息していなかったメダカが善意で放流される、ズレた保全活動が全国に広まります。
自然化での固有種で守るべき最優先事項は、その「多様性」なんです。
その生物多様性を壊すことを専門用語で「遺伝的汚染」と呼びます。一見大した事のない様に思えますが、全国で積極的にその地の固有種を交雑種にし、絶滅に追いやってしまいます。
専門家の意見により、事態を重く見た環境省は2003年にようやく『絶滅危惧種』へと認識を変え、その後安易な放流へ警鐘を鳴らすのでした。
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メダカが絶滅危惧種になった原因
80年代以前、高度経済成長期が始まる前は水田や用水路、小川にごくごく普通にメダカは生息していました。
そんなメダカがここまで追い込まれた理由は3つあります。
1つは急激な経済成長による汚染です。上下水道が普及してない時代の汚染水の垂れ流し・農薬による効率化が進み汚染された河川では生き残れません。
2つ目は人間主体の環境整備です。護岸工事や用水路のコンクリート化は水の流れを強めます。また産卵床になる水草も奪ってしまいました。
3つ目は外来種の増加、特にスポーツフィッシングに代表されるブラックバスやブルーギルの、釣り人による無責任な放流です。
体躯の小さなメダカは格好の餌となってしまいました。
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ニホンメダカは絶滅した?
厳密に言うと絶滅とは意味合いが異なります。
かつて国内生息種は「ニホンメダカ」一種とされていました。ところがつい最近、2011年12月に青森県から兵庫県に渡る日本海側付近に生息するメダカが別種であると認定されます。
これらの種が別種として「キタノメダカ」という独立種になります。
さらにその2年後の2013年には「キタノメダカ」以外の国内種を「ミナミメダカ」とし命名されます。
実は「ニホンメダカ」は2種類いたと言うわけです。
この為従来認識されていた「ニホンメダカ」と言う種名は「日本に生息するメダカ」を指す形容詞となり、「ニホンメダカ」という種名は姿を消すのでした。
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ニホンメダカの2種!キタノメダカとミナミメダカ
前述の通りニホンメダカは長い年月を掛けてその違いが明確になり、2種に分化しました。
メダカは腎機能が非常に発達しており汽水域にも分布します。
新たに別種として記載された「キタノメダカ」は本州の日本海側と東北北陸地方の淡水域と汽水域に分布します。
元々ニホンメダカであった「ミナミメダカ」の分布域は本州の太平洋側、四国・中国・九州地方、そして南西諸島の淡水汽水と定義し直される訳です。
日本国土は山岳地帯が多く水系も容易に分断される為、この様な多様性を持つメダカ群が誕生したのでしょう。
ただその生態や外見・生息域には両者とも殆ど差異は見られません。
今後この2種を軸に、日本独自のメダカの多様性を守り抜くことが保全の命題となる事でしょう。
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まとめ
この様に元来平和に暮らしていたメダカの受難の歴史は、そのまま日本人の経済成長や自然への関心度を写し出しています。
実を言うと筆者も野生のメダカを見たことは一切ありません。
次の世代の子供たちのためにも、水族館でしか見れない魚にはしたくないものです。