タツノオトシゴ…日本人にはかなり周知された魚です。魚というには無理のあるフォルム、ありえない外見、消失した尾ビレ、そしてオスの育児嚢など、その魅力は満載です。
では早速タツノオトシゴの飼育方法や、その変わった生態について触れていきたいと思います。
スポンサードリンク
目次
<目次>
タツノオトシゴの紹介 |
タツノオトシゴ属の最大サイズと最小サイズ種は!? |
タツノオトシゴの繁殖と出産 |
タツノオトシゴは稚魚の子育てをする? |
まとめ |
タツノオトシゴの紹介
日本人は”竜の落とし子”、英語圏では”Sea horse”つまり「海の馬」…と呼ぶほど、その面影は魚類からかけ離れています。ヨウジウオ科タツノオトシゴ属の魚で全世界で45種類ほど確認されており、ストロー状の小さな口が特徴的です。
分類的に似通った種が多く、同一種と見られていた種が実は別種だったという事例も多数あるほど、分類学者の悩みの種になっています。外観からの種の判別が難しく、国内種も6〜8種と言われるほど認識が多岐に渡ってます。
<国産種>
タツノオトシゴ
その名の通り標準和名タツノオトシゴ。最もよく聞く種類です。推定寿命1〜5年、大きさは8〜12cmとなります。
日本各地でよく見られますが基本的には伊豆以南の温帯地域に生息しています。
分類学上のタツノオトシゴ属は未だ網羅されておらず、意外な新種が見つかるかも知れません。
オオウミウマ
国内最大種です。インド洋や西太平洋とかなりの広範囲に分布します。その最大体長は30cm以上にもなります。
クロウミウマ
生息地は熱帯域である沖縄中心で、主に汽水域を好みます。オオウミウマほどではありませんがこの種も30cm程度に成長します。
タカクラタツ
主な生息地は水深100m以下。意外にも磯場等の浅瀬でも見つかります。国内では千葉県以南に分布します。体が扁平で口吻がやや上部に位置するのが特徴的です。
サンゴタツ
北海道南部から本州西部の日本海に広く生息している小型種です。同定されている種では日本最小で、全長は5cmほどです。そのサイズから観賞用として人気が高い種です。
ハナタツ
本州中部から九州地方の沿岸に分布。赤色の体色が独特な種で全長8cmになります。かなり分類学に翻弄された種でタツノオトシゴと同種とされていた時期もあるほどです。
<海外種>
ピグミーシーホース
平均1〜3cmほどの小さな種の総称です。かなりの小ささに加え個体差、地域差も多く種の同定が容易ではありません。ダイバーによる国内での目撃例も報告されています。
ビッグベリーシーホース
国内最大種のオオウミウマより一回り大きくなる種です。生息はオーストラリア沿岸とニュージーランドのオセアニア地方です。
スポンサードリンク
タツノオトシゴ属の最大サイズと最小サイズは!?
最小サイズは「サトミピグミーシーホース」。何と僅か1.4cm程です。名前にサトミとある様にインドネシアのデラワンの日本人ガイド、大西さとみさんが発見・報告した種類です。
最大種はカリブ海に生息する「カリビアンシーホース」。水族館でよく見られるこの種は全長35cm以上に成長する巨大種です。
スポンサードリンク
タツノオトシゴの繁殖と出産
有名な話ですがタツノオトシゴの仲間はメスがオスの腹部下部にある「育児嚢」に出産します。
繁殖期になるとメスはオスの育児嚢に直接輸卵管を差し込み産卵をします。受精は育児嚢内で行われます。
種類により産卵数やオスのいわゆる「妊娠期間」はまちまちです。
最もメジャーな「タツノオトシゴ」は40個ほど、大型種の「ウミウマ類」は実に500個に及ぶ事もあります。
孵化は種類や生息域に依存し、早くて10日、最長で1ヶ月ほどと非常にバラつきがありますが、平均は2〜3週間ほどです。
オスは孵化が迫ると珊瑚などの足場に尾を巻き付け、腹部を何度も激しく揺らします。その衝撃で孵化した稚魚は一斉に海中に散りばめられます。
スポンサードリンク
タツノオトシゴは稚魚の子育てをするか?
孵化した時点で尾が未発達で流されたり、遊泳能力が乏しい種もいます。
そういった種の稚魚は孵化後も充分成長するまで育児嚢を生活の拠点にする事も報告されています。
一見子育てに見えますが、父親はもう無関心です。この時点で特別な栄養食を与えたりすることはありません。
稚魚は孵化した瞬間から自力で餌を探すことを求められます。
スポンサードリンク
まとめ
タツノオトシゴはダイバーにも人気、飼育者にも人気と非の打ちどころのない魚に見えます。
ただヨウジウオの仲間はその吻部が最大のネックです。餌がかなり限定的になるんです。
記事を読み飼いたいと思った方はシーホースなどの巨大種からの飼育をお勧めします。
この種の仲間は個性的で一定の条件さえクリアできれば、素晴らしいタンクメイトになる事間違いなしです。