マンダリンフィッシュは和名をニシキテグリと言います。スズキ目ネズッポ科の非常に美しい海水ハゼです。
表皮に青色素胞を持つ限られた魚であり、その鮮やかな青色ベースの複雑な模様は唯一無二でしょう。
いかにも南国の魚という感のある本種について、詳しく説明して行きます。
スポンサードリンク
目次
〈目次〉
マンダリンフィッシュは動かない? |
マンダリンフィッシュの飼育について |
マンダリンフィッシュの混泳について |
マンダリンフィッシュの繁殖事情 |
まとめ |
マンダリンフィッシュは動かない?
結論を先に言うと、もちろん生き物なので動きます。
ただ「動かない」と形容されるほど、非常におっとりとしています。
泳ぐ事もありますが、基本は「歩く」といった感じです。サンゴ砂などの底面やライブロック・サンゴ上を、各ヒレを器用に使い散歩しているように見えます
餌にも即座に食いつきません。水底に落ちていく餌をジーッと見つめ、しばらくしてからノンビリとついばみます。
この様に独特の“間”を持つ魚なんですね。
スポンサードリンク
マンダリンフィッシュの飼育について
マンダリンフィッシュは全長5〜7cm程度の小型魚です。そのため単独飼育なら30cm水槽でも飼育可能です。
同種間では多少の小競り合いをします。個体数に応じ適宜水槽のグレードアップが必要ですね。
自然下では主に温熱帯域のサンゴ礁に生息しています。このため水温はやや高めを好むので、27℃ほどに設定します。
底にはサンゴ砂等キメの細かい砂を敷くと落ち着きます。ライブロックは必ず入れましょう。出来ればサンゴも同居させてあげて下さい。
後述する餌の面でかなり有用になります。
フィルターはオーバーフローが一番ベストですが、用意できる人は限られますよね?上部式フィルター・壁掛け式フィルター・エアリフト型を用い、頻繁な換水を行う方が現実的です。
餌についてですが、実はこの点に一番飼育者は苦しみます。このハゼが飼育難易度が高いと言われる最大の所以です。
まず大前提として人工飼料は一切食べません。理由は魚のみぞ知る!ですが、ショップでさえ人工飼料に餌付かせる事は不可能です。
自然界ではゴカイ類・ヨコエビ・イサザアミ・コペポーダなど主に動物性プランクトンが主食です。飼育下でもそれに習いましょう。
ライブロックからは自然由来のプランクトンが豊富に発生します。これらは給餌で苦戦する際のサポートになります。
以上の理由から主食は冷凍餌主体です。ただ今は冷凍餌の種類もかなり豊富です。維持費はかかりますが、栄養面での心配は無用でしょう。
代表的な冷凍餌は“冷凍ホワイトシュリンプ(イサザアミ)”や“冷凍コペポーダ”、“冷凍ブラインシュリンプ”です。
これらをバランス良く与えて下さい。“冷凍アカムシ”や“冷凍イトミミズ”も食べてくれますよ。
既にお話しした様に、その摂食は非常に悠長です。餌が底に落ちしばらく経つまで微動だにしません。
また最初は特定の種類の餌にしか反応しない事もあります。
とにかく餌に関しては根気よく、且つ粘り強く試行錯誤してみて下さい。
スポンサードリンク
マンダリンフィッシュの混泳について
性格は非常に穏やかな魚です。他魚を積極的に攻撃する事はありません。ですがその特徴的な摂食形態から、活発な魚だとマンダリンフィッシュに餌が回りません。
似た捕食方法を持つ魚や、動きが少なくおっとりとした魚が最も適しています。タツノオトシゴの仲間・チンアナゴ・ヨウジウオ・共生ハゼ類などの待ち伏せ型捕食魚が向いています。
同種同士はテリトリー意識からか、やや小競り合いをします。そのため数の入れ過ぎには注意して下さい。
スポンサードリンク
マンダリンフィッシュの繁殖事情
実は入荷するマンダリンフィッシュほぼ全てが自然採取です。ショップで見られるものは100%天然物なんです。
産卵までの例は個人レベルでもありますが、その後の稚魚育成の成功例は未だ聞きません。
参考までに産卵までの一連の流れを記述します。
まずマンダリンフィッシュはペアで繁殖をします。相性が鍵となるので複数飼育しお見合いをさせましょう。
ペアが成立すると他は全て邪魔者になります。速やかに別水槽に移ってもらいます。
ちなみに雌雄差はオスの背ビレがピンと長くそそり立つので、その判別は容易ですよ。
産卵のタイミングは消灯時の様ですが、こちらもデータが少な過ぎるので定かではありません。産卵時になるとオスとメスは互いにまとわりつき、水面に向かいます。この時メスが産卵し、即座にオスが放精します。
バラマキ式の浮遊卵なのでフィルターの吸水口は予め、微細なネットやスポンジに変えておきます。
後はスポイトで一つ一つ卵を探して隔離するだけです。
残念ながらこれ以降のデータは一向に見当たりません。ハゼ類なので稚魚の初期飼料は微細なインフゾリアやワムシ、コペポーダ類と推測されます。
もしかしたら特別な初期飼料が必須?なのかも知れません。
腕に覚えのある方は是非とも繁殖にチャレンジしてみて下さい。
スポンサードリンク
まとめ
マンダリンフィッシュはどのショップでも見かける割に、謎が多い魚です。熱帯性海水魚の中でも、習性や特徴が群を抜き変わっている珍魚です。
その反面、非常に見応えのある美種でもあります。
珍魚好きや、一歩踏み込んだ飼育を求める方にはうってつけですよ。