“アナバス”と言う言葉に聞き覚えのある方は少ないのではないでしょうか?実はこれ、かつて世界三大珍魚として名が知れた「キノボリウオ」を指します。
かなり変わった生態を持つこの珍魚。早速解説していきたいと思います。
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目次
〈目次〉
アナバスとは? |
アナバスの仲間と飼育方法 |
アナバスは混泳できる? |
アナバスの繁殖方法 |
まとめ |
アナバスとは?
アナバスは和名をキノボリウオと言い、スズキ目キノボリウオ亜目キノボリウオ科に属する魚です。
飼育下での体長は15cm程ですが、野生下では30cmまで育つとも言われています。
体色は非常に地味でほぼ全身茶褐色です。たまに黒のスポットが入る程度で、他の改良品種などはほぼ存在しません。
その生息域は東南アジア諸国全土に渡ります。
アナバスの鰓は他魚とは異なり無数の毛細血管が幾重にも張り巡らされています。他魚とは異なるこの期間を「迷宮器官=ラビリンス器官」と呼びます。微細に張り巡らされた毛細血管は空気から直接酸素を取り入れることができるんです。
この為、乾季など厳しい環境にも耐えれます。一部の地域群は繭状になり空気呼吸のみで次の雨季を待つことが知られています。
「木登り魚」は明らかに誇張表現ですが、胸ビレと腹ビレがほぼ地面に対し水平に接しており、地表に追いやられた際はエラを極端に広げます。そしてほふく前進の様に上手に陸上を移動します。
ある水族館の記録では脱走したアナバスが、一昼夜物陰で熟睡していた例もあるそうです。
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アナバスの仲間と飼育方法
キノボリウオ亜目の下位には、有名なベタを始め様々なグラミーの仲間が記載されています。
現在観賞魚として出回っているグラミーの仲間はほぼアナバスの近縁種となります。
代表的なものは1m前後になるグラミー最大種“オスフロネームス・グラミー”や“キッシング・グラミー”“ドワーフグラミー”“チョコレートグラミー”などのグラミー類。“ベタ”などの仲間。“クロコダイルフィッシュ”などの珍種も分類分けされています。
これらのグラミーの仲間同様、アナバスは非常に丈夫な魚です。
基本的に飼育下では15cm前後で成長は止まりますので、さほど大きな水槽は必要としません。ただ性質上飛び出しが非常に多いので、蓋は必需品です。
水質は生息地から弱酸性〜中性が望ましいですが、適応範囲は実に幅広いです。水温は27〜30℃と言ったところでしょう。
餌も選り好みせずほぼ何でも食べてくれます。
この様な特徴から、きめ細かな飼育が疎かになりがちです。確かに丈夫さを持ち適応力も幅広いアナバスです。
それに甘えっきりにせず、基本的な水換えや水槽のメンテナンスは他魚に準じて下さい。
どの魚もそうですが、ただ生体に我慢させる飼育ではその先の混泳や繁殖には到底至りません。
きちんと飼育すると見違える様な発色も見せてくれますよ。
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アナバスは混泳できる?
口に入らない魚となら確実に混泳できます。同種間での多少の小競り合いは見られましたが、じゃれあい程度のものでした。
またアナバス自体非常に温和な性格です。そして何故か?気の荒い魚に目をつけられにくい傾向があります。
筆者はあの獰猛なシクリッドで有名な“オスカー”と一時的に混泳させましたが、何故か全く攻撃対象になりませんでした。地味な体色に何か鍵があるのだと思います。
ただ基本は同サイズの魚との混泳に留めて下さい。そして気性の洗い魚との混泳は極力避けた方が無難です。
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アナバスの繁殖方法
アナバスの繁殖は特殊な条件が必要なのではないか?と古くから言われています。
それは乾季と雨季です。
水槽内での繁殖例はほぼ確認できません。乾季と雨季の移り変わりが繁殖のスイッチになっているとも推測されています。
ただごく少数例ですが水槽内産卵を耳にした事があります。
前提条件はアナバスのみの複数飼育です。60cm水槽での産卵例でした。他のグラミーの様に泡巣や水草床など産卵用の巣は作りません。
いわゆるバラマキ式方式の産卵だそうです。キッシング・グラミーに似ています。
メスの産卵に合わせオスが集団放精する産卵形式です。ただ卵はかなり小さく、収集は困難です。
これもグラミー主全般に言えることで、フィルターの吸水口などをスポンジ状のアタッチメントに変更する。
無理に集卵せずに親魚を別水槽に移す。これらの対応が有効です。
孵化した稚魚もまたアルテミアは食べれません。ワムシを与えましょう。
このアナバスは国内繁殖報告がほぼ皆無です。一匹200〜300円と非常に安価なこと、野生採取した方が人工繁殖より遥かに効率が良いのが主な理由です。
綺麗な水質を保ち長期飼育すれば必ず性成熟してくれるはずです。国内の数少ない繁殖例にチャレンジする価値は大だと思いますよ。
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まとめ
一目見るとかなり熱帯魚のイメージからかけ離れた魚、アナバスです。
ただその稀有な特徴は熱帯魚随一です。
まずは一匹、混泳させてみてはいかがですか?アクアテラリウムではその「歩く」姿がよく観察できますよ。