イモリといえば真っ先に赤いお腹をした「アカハライモリ」が思いつきますよね?
ただイモリ類は非常に種類が多く国外に目を向けると、バラエティーに富む種類が豊富に存在します。
カエルと同じ両生類ですが、イモリの仲間は“尾”を持ち「有尾類」とも呼ばれます。
生態や特徴も種類ごとに大きく異なる上に、じっくり飼い込めば繁殖にも持ち込める生き物です。
そんな魅力満載のイモリ、その基本的な情報を説明していきます。
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<目次>
イモリ類の特徴とは? |
イモリ類の基本的な飼育方法 |
必要な用具やかかる費用は? |
イモリ類の主な種類について |
まとめ |
目次
イモリ類の特徴とは?
イモリ類は脊椎動物である両生類に分類されます。
日本国内には北海道・沖縄を除く各都府県に「アカハライモリ」、沖縄・奄美などの亜熱帯に「イボイモリ」「シリケンイモリ」という日本固有種が生息します。
両生類は基本的に大きくならず、最大種でも20cmほどにしか育ちません。
爬虫類の様に日光浴をする必要もなく、代謝も低いので頻繁な給餌も不要です。
しかも変温動物には珍しく大半の種類が低温を好み、飼育の際はヒーターなどの加温機器も不必要となります。
反対に日本の夏を乗り切れるイモリは数少なく「冷やすこと」がキーポイントになると言う、変わった飼育方法を取らなければなりません。
そのためイモリマニアは冷蔵庫やワインセラー・エアコンなどを駆使し飼育に臨んでいます。
低温を好むということは代謝の遅さにも繋がる訳で、寿命の長さも他の動物と比べ抜きん出ています。
国内のアカハライモリは25年生きた公式記録があり、その他のイモリ類も平均10〜15年の寿命を持ちます。最長寿命を持つ「ホライモリ」は何と最大100年もの寿命を持つそうです。
イモリ類は全てが肉食性であり、土壌生物や昆虫類・ミミズやワラジムシ・水生昆虫・オタマジャクシ・赤虫などを主食としています。
動くものに積極的に食らいつくので、人工飼料を餌にすることも可能です。
繁殖も水中卵・陸生卵…そして卵胎生と生息地に合わせた産卵方法を取り、その卵を守り抜くイモリ類も存在します。
ただ、ごく微量ですが大多数が毒性を持ち、アカハライモリなどはフグ毒テトロドトキシンを持ちます。
人間にとって致命傷となる毒を持つ種類はほぼいませんが、素手で触った後などは必ず手を洗う様にしましょう。
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イモリ類の基本的な飼育方法
国産種のアカハライモリ・シリケンイモリが水場に依存するので間違えやすいのですが、イモリ類の過半数は陸棲種となります。
そのためイモリ類の飼育は陸棲種と水棲種の2パターンを考慮して下さい。
更に飼育下では壁面に張り付き、脱走をしてしまうので「蓋」は必需品です。
最も容易なのは水棲種の飼育方法です。
アカハライモリを例に挙げますが、このイモリは一生のほとんどを水中で過ごします。
餌は陸棲種・水棲種ともにテトラ社が市販している「レプトミン」単食で問題ありません。
ピンセットに挟み鼻先で揺らすと、積極的に捕食します。
その他、陸棲のエビと言われるワラジムシ・ミミズやハニーワームなどのワーム類・貝類や魚類の切り身・各種コオロギなどを与えると、彼ら本来のワイルドな捕食を観察できます。
ケージは蓋のある水槽で問題なく、ソイルや発泡スチロールなどで陸地を作る程度で構いません。
複数飼育も可能であり、水草を入れておくといつの間にか卵を産みつけている事もあります。
陸棲イモリにはちょっとした水場を作る飼育方法を取ります。
また自然界では下位捕食者なので隠れ家やシェルターなどを用意すると、ストレス軽減になります。
時折キリフキをし、水分補給・代謝アップを促す様にしましょう。
肝心の夏場ですが、エアコンを稼働し続けるのが最も良い方法です。
電気代が気になる場合は「水槽用ファン」を用い、ケージを暗所などに移動して下さい。
この様にイモリ類飼育は、その初期投資や継続費用がほぼかかりません。
唯一の弱点「冷やすこと」のみ気をつければ飼育難易度も低く、何なく迎えることのできる生き物なんです。
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必要な用具やかかる費用は?
出典:イモリブログ 陸生種の飼育環境の一例です。
必要な用具と言われ真っ先に思いつくのは、イモリ類を入れる容器「ケージ」に尽きます。
難しく考える必要はなく、かける費用も個々の懐事情によりけりです。
鑑賞優先なら少し費用がかさむ「爬虫類用ケージ」や「デザイン重視の水槽」、飼育優先なら水漏れしなければどんなものでも転用できます。
因みに私はホームセンターの「衣装ケース」を改造して使っていました。
小型種が多くそれほど活発に動かず、ケージを破壊する力もないイモリ類です。
流石に密閉してしまうと通気性・湿度過多と良くないことだらけです。
不器用な私でも蓋をくりぬき園芸用のマットを貼り付ける…この程度の加工で何なく飼育用具を作り上げれました。
因みにかかった費用は1000円札でお釣りが来たほどです。
これが立派なケージになると数千円から一万円ほどになるでしょう。
どちらが優れてる!という訳ではなく、好みの用具か?かかる費用の重点をどこに置くか?ただそれだけの違いなんです。
これはその他の用具に関しても言えることです。
基本イモリ類は引きこもりがちで、シェルターや岩の隙間に隠れる個体が多く見られます。
ただこれも種類次第です。陽気なイモリ類は人影を見ると、餌をねだりに自ら積極的に物陰から飛び出すほどです。
シェルターなど身を隠す用具を設置した方が“ストレス軽減・長期飼育”に繋がりますが、こちらもまたイモリ類に害のない素材であれば費用を無駄にかける必要はありません。
河原で拾った流木や岩を上手いこと組み合わせたり、植木鉢を割ったものでも構いません。
もちろん市販用具の方がお手軽で利便性が高くなりますが、飼育用具一式を揃えるとなるとそれなりの費用がかかります。
また市販品で「両生類専用用具」が乏しいことも悩ましい部分です。
床材なども本来の生息地に合わせ「熱帯魚用具」「爬虫類用具」を使いこなす必要があるでしょう。
飼育者の立場から言うと、わざわざペット専門店に赴かなくても、ホームセンター等でお手軽に手に入る園芸用土がイモリ類にはピッタリです。
乾燥を好む種類には「赤玉土」湿気を好む種類には「腐葉土」、更に水棲種には「川砂」さえ販売しており、費用も桁違いにお手軽です。
敢えて「ケチろ」と言っている訳ではありません。
イモリ類は餌以外なら、どんな用具でも好んで受け入れてくれます。
返って創意工夫を重ねた方がより良い環境を作り上げることができます。
飼育用具にかかる費用、それが安価になるのはあくまで副産物なんですね。
補足すると田舎住まいの方はミミズやワラジムシを採取したり、田開きが始まればオタマジャクシなどの生き餌も採取できます。
これは地域がら行える事なので、あくまで補足として捉えて下さい。
最後に大切な事を付け加えますが、イモリ類は化学物質や農薬などでイチコロに☆になってしまいます。
拾い物や人間用のものを与える際は、洗剤を使わず入念に洗浄してから用具として使うことが大前提です。
野外で採取した餌自体も1〜2週間ほど飼育(ストック)し、残留農薬や寄生虫の可能性を潰してから与えましょう。
費用はかかりませんが、手間はかかります。
そういった試行錯誤・創意工夫に面白みを見出せるのがイモリ類飼育の醍醐味です。
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イモリ類の主な種類について
いきなり万単位の費用がかかる高額種の飼育はできませんよね?
初心者の方のため…いわゆる「イモリ類の入門種類」を挙げていきましょう。
まずは最も飼いやすい日本固有種の「アカハライモリ」でしょう。
入門種と言ったらこの種で、300〜400円ほどで店頭に並び、繁殖も狙える上に餌も積極的に食べてくれます。
何と言っても加温・クーリングの必要も国産種なので一切無用です。
先ほど日本固有のイモリ類は、本種含め3種類いるとお伝えしました。
南日本を主生息域とする「イボイモリ」「シリケンイモリ」が残りの2種です。
ただし「イボイモリ」は厳重に保護施策がとられており、触れるだけで罰則になります。
その点「シリケンイモリ」はアカハライモリ同様に、頻繁に流通する安価な種類です。
パッと見はアカハライモリと変わりませんが、この種類は一回り大きく育つ上に、頭部から尾部にかけて金箔の様なラメが入ります。
南部原産ですがアカハライモリと全く変わらず飼育できるので、昔から人気の高い種類です。
では日本から海外に目を向けてみましょう。
海外のイモリ類の主な種類は、輸送や最終コストがかかるので、費用はグッと上がり入門種でも数千円はかかります。
その中でも全イモリ類中「最強の高温耐性」を持つイモリがヨーロッパ原産の「マダライモリ」です。
マダライモリは全身が鮮やかなエメラルドグリーンをしており、所々黒いスポットが入る陸棲種です。
少し臆病なのでシェルターは必ず必要ですが、国産イモリ類より一回り小型であり、人工飼料に簡単に餌付くので飼育は用意です。
我が家で飼育している個体は30℃を超える夏場でもビクともせず、今年8回目の夏を迎えます。
オスしかいないので殖やす事はできませんが、繁殖自体も簡単なイモリ類です。
かなり独特なイモリ類で、繁殖時には陸棲形態から水棲形態に劇的に体の構造を変えるのです。
皮膚は艶やかになり口は扁平に、そしてオスは“クレスト”という背ビレを生やし、メスにアピールします。
他にオススメの外国産イモリ類は、完全陸棲種の「ミナミイボイモリ」「アメイロイボイモリ」です。
中国に多くが生息しますが、この種類もまたキリフキによる気加熱放射・水場の設置などで日本の夏を乗り切る事が可能です。
陽気なイモリ類であり、一度飼い主を見つけるとシェルターから這い出て積極的に餌をねだり、イモリ類としては珍しく人見知りをしません。
過去に10年ほど飼育していましたが、水槽と餌以外は100円ショップで全て揃えました。
タッパーを水場に、加湿すると膨らむよう度を床材に、庭の落ち葉や朽木をレイアウト用品に…極め付けは観葉植物を植え付け一緒に育てたものです…
ただ、これらのイモリ類は初心者向けの主な種類に過ぎません。
殆どのイモリ類は夏場を乗り切る事が飼育の要となります。
水棲のイモリ類には水槽用クーラーを、陸棲・半水棲のイモリ類にはエアコンなどが必ず必要となります。
その代わり冬場は一切、特別な事が必要ない生き物…それがイモリ類なんですね。
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まとめ
駆け足で説明しましたが、イモリ類にはまだまだ暑さにも強く飼育しやすい種類が多く存在しています。
爬虫類系のイベントなどでは格安で丈夫な個体も仕入れられますよ。
変わり者が多いイモリ類、ぜひその飼育の一歩を踏み出してみて下さい。