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クイーンエンゼルフィッシュの飼育や価格・その 特徴や寿命・幼魚の育て方

クイーンエンゼルフィッシュはカリブ海を中心とした西大西洋・熱帯海域に生息する海水魚です。よく飼い込まれた成魚個体の額に、王冠の様な濃い輪っか状の青模様が浮かび上がる事から“クイーン”の名前が付けられました。

かなり気性の荒いヤッコの仲間であり、野生界では“海藻”や“海綿”・“サンゴ”も口にすること…そしてかなり巨大化する事から、その飼育設備には結構な投資が必要となります。

幼魚から成魚に育つ間も非常に魅力ある発色を見せることから、古くからの人気海水魚でもありますが飼育にはかなりコツがいる『飼育難易種』とし、要所を抑えた飼い方を行って下さい。

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目次

クイーン エンゼル フィッシュの特徴・寿命について

冒頭でもお話した様にクイーンエンゼルフィッシュの最大の特徴は、額に発現する濃い青色の輪っか模様です。自然下では単独か雌雄のペアで行動し群れを作る事はありません。

最終的な平均全長は45cm、そして最大個体は50cmを超えることも多く、体重は2kgを超すケースもあります。食性は雑食性であり大半が「海綿・海藻類」食ですが柔かいサンゴ(ソフトコーラル系)やイソバナ類、更にはクラゲなども口にすることがあります。

青い体色にまっ黄色なヒレ、紫色や赤色・オレンジ味が所々かかり、巨大ヤッコの仲間としてはかなりの美麗種です。現地では水族館用に展示される事も多いクイーンエンゼルフィッシュですが、飼育の技術や飼育用品の拡充と共に、徐々に個人飼育できる魚として流通し始めました。現在は可愛らしいサイズの幼魚が販売されることが多く、将来的なサイズにさえ気をつければ容易に購入・飼育可能です。

出典:Pintrest クイーンエンゼルフィッシュの幼魚

かなりの大型海水魚であり、最大全長に比例し寿命も長くなります。野生下では概ね10~15年の寿命を雌雄ともに持ち、飼育下でも10~15年……大切に育てればそれ以上の長寿も狙える可能性があります。

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クイーン エンゼル フィッシュの飼育方法


クイーンエンゼルフィッシュの飼育難易度はかなり高めと考えて下さい。

まず最大全長が40cm以上にまで成長する魚なので、120cm規格以上の水槽は必須です。120cmクラスの水槽となると総重量が最低でも500kgの重さになるので、マンションなどの集合住宅で飼育を考えている方は“床の耐用重量”そして戸建住まいの方は適宜床の補強工事などを行わなければなりません。

次の課題はろ過機でしょう。大型海水魚飼育の際は水量が多く塩分などを配線に飛散させないように、基本的に水槽下部に落ち込む『オーバーフロー式ろ過』を選択しましょう。

出典:楽天市場 オーバーフロー式水槽例

正直“上部フィルター”や“外部式フィルター”では完全にろ過能力不足です。

与える餌は海水魚用の人工飼料で構いません。人工飼料にはかなり容易に餌付くので1日2~3回ほどを目処に給餌しましょう。

床砂はお好みで構わないでのですが、できれば何も敷かない『ベアタンク』の方が日常の世話を行いやすいでしょう。こちらは飼育者個々人が確保できる時間や水替えを行えるスパンに比例しますので、状況に応じサンゴ砂等を敷くことは全く問題ありません。

水量も幼魚時以外は実に500リットル以上に昇るので、かなりの労力を費やすことになります。そのため60cm水槽などで使う手動式サイフォンポンプでは確実に不可能です。電動式の強力な給水機器を用いるか?糞や残餌をマメに取り除くようにして下さい。

若しくはオーバーフローに用いる循環装置の排水口部分のホースに予め“ダブルタップ”をかましておくと、流れを一時的にストップできるのでかなりオススメの方法ですね。

出典:楽天市場 ダブルタップ


そして気になる混泳魚との相性ですが、気の荒い性格のクイーンエンゼルフィッシュはかなり他の大人しい混泳魚などを攻撃し、更に気の荒い魚種同士でも喧嘩をする可能性が大です。そして与える餌等がやや不足しているとサンゴ…特に“ソフトコーラル”など柔かいサンゴを齧る事も確認されています。

口吻部にはフグの仲間ほどではありませんが、その様な堅い餌を削り取ったり他魚を攻撃する際にも致命傷を与えかねません。

そのため基本的にはライブロックを積み重ね、クイーンエンゼルフィッシュと他魚が直接接触しない環境づくり、逃げ場・隠れ家等を作り上げて下さい。どうしてもサンゴを入れたい場合は“ハードコーラル”に限定しましょう。

ハードコーラルのサンゴでも強力なクチバシで写真の様に表面をこそぎ落としてしまう事があるので、サンゴをどうしても入れたい場合は1日2~3回の給餌の他に、ちょっとしたおやつ代わりに給餌をして下さい。人工飼料でもいいのですが、なるべく動物食に近い『冷凍イサザアミ』等を与えるとより効果的です。

基本的にサンゴ上部表面を狙い撃ちし口にするので、水槽表層部付近の水流を強くするという手もあります。ただこの場合はサンゴの種類によっては流れの強い環境を嫌う種も多く、クイーンエンゼルフィッシュ自体もかなりパワフルに泳ぎしつこくサンゴを齧るという執念深さもあるので、効果はやや薄いようです。

混泳魚の数をかなり多めにし攻撃目標を拡散させる手もありますが、その場合かなり頻繁なメンテナンスが必要となります。もしもの時の隔離水槽等も必要になるので、個人的には空き水槽や飼育スペース等に余裕がある飼育者が試してみましょう。

また海水魚飼育には冬場のヒーターはもちろんですが『水槽用クーラー』も必須器具です。

出典:出典:Amazon ゼンスイ水槽用クーラー

カリブ海などの熱帯域に生息するクイーンエンゼルフィッシュですが、その適温はやや低めで23~24℃ほどです。そのため酷暑が続く日本の夏季にはオーバーフロー式ろ過のポンプの取水口に繋ぎ、適宜冷やし水温の上昇を抑えなければいけません。

クイーン エンゼル フィッシュの価格と飼育費用 


他の大型海水魚同様にクイーンエンゼルフィッシュの個体価格はその大きさに比例します。

上記のTwitter上の約20cm前後の若魚が、概ね27000~30000円ほどとなります。


こちらは模様も成魚と著しく異なる“幼魚”となりますが、幼魚の価格は調べた限り10000円台後半になるようですね。

飼育にかかる費用ですが、やはりろ過装置が特別なこと・水槽の大きさ・更には床の補強工事まで入れると、かなり初期投資が莫大となります。床の補強工事は依頼する工務店や集合住宅の階数など、アクアリウムの話とはまた別に逸れるので割愛させて頂きます。

水槽は予めオーバーフロー式水槽を組み込んだセット購入がベストです。自作するのはかなり専門的技術が必須となるのでハードルが高くなり、一歩間違えれば厄介な海水が溢れ出て住居自体が腐食してしまう結果となります。水槽自体も120cm以上になり、ろ過装置を取り付けるための複雑な設計・海水を循環させるポンプも流量が多いものが必要なので、安くても最低20万・安心を買うならば約50万円ほどかかります。

その他の雑品にはプロテインスキマー・水槽用クーラー・蛍光灯・温度計・比重計・各種濾材・人工飼料・冷凍飼料などが必須用品ですが、こちらは全てひっくるめても数万円ほどで済むでしょう。

出典:Amazon プロテインスキマー


 

プロテインスキマーは淡水に比べ粘性が高くタンパク質が混ざりやすい“海水”の特徴を活かし、微細なエアストーンの表面張力で不純物を集め一網打尽にする『ろ過補助器』と考えると分かりやすいでしょう。

主のフィルターは落とし込み…オーバーフロー式フィルターになるので、最悪プロテインスキマーは設置しなくても良いでしょう。あまりにろ過能力が乏しい場合に使用してみて下さい。お値段も120~150cm水槽用の物は20000~30000円になるので、節約できる部分は節約してみましょう。

以上の点からクイーンエンゼルフィッシュ飼育には約30~70万円、別途床の補強などが必要な住宅の場合は事前に建築関係の見積もりなどを取っておきましょう。

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クイーン エンゼル フィッシュの繫殖方法と幼魚の育て方

出典:Pintrest クイーンエンゼルフィッシュの幼魚

まずクイーンエンゼルフィッシュの幼魚の育て方なのですが、最も気をつける事はその水質でしょう。

人工飼料にも幼魚の頃から容易に餌付くのですが、環境の変化に敏感でありある程度の大きさになるまで気が抜けません。肝心の水質ですが水温はやや高めの24~26℃程度に設定し、phはアルカリ性に合わせ8.1~8.4の間に留め、この範囲を逸脱しないようにこまめにphを測定しましょう。硬度は中程度の硬水〜硬水:8~12°d間が基本となります。

基本的には草食性海水魚の人工飼料を軸とし、おやつ程度の感覚で冷凍アルテミア・冷凍イサザアミなどを適宜与えると栄養バランスがいいでしょう。


幼魚自身は60cm水槽から飼育可能ですが、直ぐに巨大化するので最低限購入した時点で90…あるいは120cm水槽は手元に用意しておいた方がベストです。

次にクイーンエンゼルフィッシュの繁殖方法ですが、これは水槽内飼育ではほぼ困難です。

飼育下繁殖例の報告も調べた限り全く上がっておらず、自然界ではオスメスでペアを作り広いカリブ海・大西洋で産卵を行います。水族館などでの繁殖例も殆ど報告がなく、少なくとも個人で繁殖をさせ殖やすのは、クイーンエンゼルフィッシュについては極めて不可能に近い状態です。

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まとめ

今回は大型ヤッコ類の仲間でも特にその飼育が困難と言われている、クイーンエンゼルフィッシュについて取り上げました。

かなり癖のある魚であり、初心者が最初に手を付けるべき魚種ではありません。

飼育設備もかなりの大掛かりとなり、最低限の飼育設備を揃えるにも超えるべきハードルが多く、経済的…そして時間的な余裕も飼育者に求められてしまいます。

海水魚飼育の終着視点として定め、入門種から研鑽をつみ最大難関種『クイーンエンゼルフィッシュ』に将来的にチャレンジしてみて下さい。

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