エンゼルフィッシュは他の熱帯魚同様、混泳相手としてよく選ばれる代表的な熱帯魚です。
元々の生息地もアマゾン川水系ということで、バックグラウンドに流木や各種水草などを植え付けても非常に見栄えがします。
体表のストライプ模様やヒラヒラしたヒレも、野生下で外敵から身を守る様に進化した結果という説さえあるほどです。
ただ…幼魚の頃はいいのですが成長するにつれ気が荒くなる面があり、将来を見据えた混泳相手や逆に混泳させる熱帯魚の種類により避けなければいけない相手もいます。
今回はエンゼルフィッシュの混泳・相性、そしてレイアウト方法の注意点や好ましい方法についてご説明します。
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目次
エンゼルフィッシュを混泳させる条件と相性について
まず第一に基本はエンゼルフィッシュと同サイズ…あるいは一回り大きめの種類を選べば、食害などの事故は起こりにくいでしょう。エンゼルフィッシュはシクリッドの仲間ということで、やや気性が荒い部分があり、小さな魚は追いかけ回されたり体表を突っつかれるなどの被害に合うことが多いようです。
店頭ではSサイズ・10円玉・500円玉ほどの幼魚が販売されていることが多いのですが、将来的に成人男性の手の平大まで大きく育つ魚です。10匹単位で購入すると明らかに60cm水槽では手狭になり、お互いのテリトリーが干渉する分諍いが絶えません。
混泳の条件としてエンゼルフィッシュの成体の大きさを考慮するのは必須です。
当然水槽の大きさにも混泳可能か不可かは依存するので、適宜サイズアップをすれば多くの混泳相手を投入できるでしょう。
流木や水草などで死角・隠れ家などを多めに作ったり、ネオンテトラなど小型テトラ類なども数十匹単位の群れで混泳させればまず問題はないでしょう。
注意すべきは致命的に相性が合わない魚がいることです。
この魚は「タイガバーム」とも呼ばれているコイ科の小型魚『スマトラ』です。
スマトラは細長いものを突っつきまわすという習性を持ち、これは本能なので修正の仕様がありません。エンゼルフィッシュはご存知のように細長いヒレを持つので、そのヒレを執拗に追い廻しストレス・衰弱にまで追い込んでしまいます。
この「スマトラ」という熱帯魚との混泳は絶対にNGです。
その他避けるべき熱帯魚はテリトリー意識の高い“スネークヘッド”や“他のシクリッド類”でしょう。レイアウトの工夫次第で混泳できなくもありませんが、安全に飼育するのなら大人しい魚種と混泳させるのが最もいい方法です。
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混泳するのにおすすめな種類
エンゼルフィッシュの混泳に関して万全を期すならば【同サイズの魚】【群れ単位での小型魚】【動きの少ない魚種】【底生魚】が筆頭に上がります。
これらを加味すると以下の熱帯魚がエンゼルフィッシュとの混泳に適した代表種でしょう。個別にご紹介します。
● コリドラス類
底生魚であり掃除屋としても有能なコリドラスの仲間ですが、コリドラス類はなぜか?混泳の相性が優れており、同居魚とのトラブルはほとんど耳にしません。
エンゼルフィッシュ自身も中層~表層部をゆらゆら泳ぐことが多いので、完全底生魚であるコリドラスとの相性は非常に良いです。レイアウトや水草を掘り起こすこともなく、食べ残しの餌を処理してくれるので混泳魚としてはかなり優秀な魚です。
● ディスカス類
ディスカスも同じシクリッドの仲間ですが、意外に混泳させるケースが多く上手く行くケースが多々あります。エンゼルフィッシュとほぼ同じような体型をしているのも、混泳させやすい理由の一つでしょう。ただ念のために隔離水槽等は用意しておいた方が良いでしょう。
● 小型テトラ(10匹~の群れ単位)
ネオンテトラが最も安価で10匹単位でも安価で購入できますが、もちろん一匹ではかなり混泳は難しいでしょう。その他にも「カージナルテトラ」や「ラミノーズテトラ」などの3~4cmほどの小型魚が多いですが、必ず群れ単位で飼育し水草等の隠れ家も入れ込んだ方がいいでしょう。
● 底生ナマズ類
画像はトーキングキャットという中型ナマズで、水中からあげると胸ビレをきしませ音を出すことからこの名が付きました。夜行性であり昼行性のエンゼルフィッシュとは多少相性が悪い部分がありますが、その点は水槽のサイズによりけりです。
とにかくお互いに不干渉なので夜行性・昼行性という点を除けば、理想的な混泳相手でしょう。
● プレコストマス類
気性の荒いプレコ…例えば体表面積の大きい魚に吸い付き顎の力も強い傾向のある「ロイヤルプレコ」等は避けて下さい。
良くディスカス水槽などに「セルフィンプレコ」などが混泳される事が多く、エンゼルフィッシュにも適していますがセルフィンプレコは最大40~50cmにまで成長するので、これは大型水槽で混泳させる場合に留めましょう。
中型プレコである「プッシープレコ」「ダルマプレコ」などがベストですね。
他にも混泳可能な魚種は多種様々いますが、一般的に安全である…そして混泳させることの多い魚種は概ね以上の種類になります。
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水槽で水草レイアウトをするのに必要な機材と費用
エンゼルフィッシュだけでなく水草水槽を始める際に最も重要な要素は『光量』と『二酸化炭素』です。
底砂は根を張りやすく傷つきにくいように、田んぼの泥を濾した「田砂」や泥を固めた「ソイル」「大磯砂」などを5~10cmほど厚めに敷きます。
光量ですが従来は蛍光管ライトが主流でしたが、最近はLEDライトも広く浸透し始めています。2つの差は“蛍光灯ライト”はいわゆる拡散光で光が当たらない部分が出にくいのですが、LEDライトの場合はレーザー光に近い直進光なので影ができやすいということは覚えておいてください。
どちらの利点も一長一短なので、選んだ水草が必要とする光量や総本数に対し飼育者が任意でお選びください。LEDライトの方が一般に浸透したばかりですので、かなり高額になります。
次に二酸化炭素ですが、これは光合成を促進するものなので基本的に生体メインの水槽には使用しません。「二酸化炭素供給キット」自体かなり高額なので…こちらも飼い主の飼育スタイルに準じます。
熱帯魚メインで複数匹を多く入れている水槽の場合は、エンゼルフィッシュなどが確実に窒息死してしまうので、こちらを使用する際はあくまで『水草メイン』で数匹の飼育魚程度に留めるのが定説です。
無理に用意しなくても水槽内に多くの熱帯魚がいる場合は、呼吸による二酸化炭素でまかなえます。肥料なども飼育魚の排泄物でいいでしょう。
結論をいうと今回の様な生体メインの飼育の場合は二酸化炭素ボンベなどは使用せず、光量を上げ満遍なく植え付けた水草に光が当たるようにするのがベストな選択です。
肝心の費用ですが蛍光灯なら3~4灯設置できるものが約5000~6000円かかり、LEDライトで充分な水草育成をしたい方はより高価になり、数万円は用意しておいた方がいいでしょう。
床砂などは1000円ほどで充分間に合い、水草の根株を植え込む“ピンセット”や伸びすぎた際適宜、葉や茎をカットするハサミなど専用の物は数千円単位かかり、本格的な水草アクアリウムを構築する際に使用するものです。
個人的には混泳+水草レイアウトとなれば、代替物として100円ショップなどで手に入る「ピンセット・先曲りピンセット」「メイク用の小型ハサミ」で充分だと感じます。
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水温や餌の与え方などの飼育方法
エンゼルフィッシュは南アメリカ大陸・アマゾン川水系に野生種が生息するので、水温は下限が25℃上限30℃程度に留めます。
様々な品種が作出されていますので、かなりペット化・家畜化が進んでおり…『アルタムエンゼルフィッシュ』など飼育玄人でも手こずる様な原種でない限り、水温は平均27℃程度で充分です。ただ問題となるのが“日本の夏”で、世界的に見ても実は日本の夏の気温・水温というのはトップクラスに暑くなります。
水槽用クーラーまでは流石に必要ありませんが「水槽用冷却ファン」「エアレーション」「蛍光灯のリフトアップ」などを駆使し、数℃程度下げなければいけません。
与える餌のメインは人工飼料で全く構いません。各種メーカーからフレークフード・小粒のフードが販売されているので、ご自宅のエンゼルフィッシュが好む指向性の高いもので問題ないでしょう。
この様な市販の人工飼料で構いません。
もちろんエンゼルフィッシュの成長ステージで与える餌は変化します。孵化後1~2日は卵黄由来のヨークサックから栄養を吸収し、自ら泳ぎだすと稚魚は餌を求めます。
ブラインシュリンプをキチンと捕食できる稚魚は、透明な腹部がオレンジ色に染まるので、それで給餌量を判別して下さい。
体長1~2cm程度までは、栄養優先の初期飼料としてアルテミアを与え続けて下さい。その後体長が大きくなるのに合わせ『冷凍ミジンコ』『冷凍赤虫』『細かく切り刻んだイトミミズ』『稚魚用人工飼料』を与えていきましょう。
エンゼルフィッシュはかなりなんでも食べる魚…言葉を悪く言えば悪食なので、一日に2~3回たっぷりと餌やりをしてあげましょう。
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まとめ
今回はエンゼルフィッシュと相性が良く混泳できる基本的な熱帯魚について取り上げました。そのレイアウト方法もかなり融通が効く魚で、適切な大きさの水槽ならば非常にバラエティに富む水草や流木等を入れ込むことができます。
あくまで主役はエンゼルフィッシュですが、その汎用性の高さも不動の人気種を保ち続けている要因なのでしょう。