ブラックモーリーはモーリーのメラニズム(黒化)個体を固定化した種類です。古くから”コケ取り魚”として優先され、その本質的な魅力はおざなりにされがちでした。近年は実に様々な品種が産み出され、アクアリウムも多種多様な構成・レイアウトが発展し、単なる脇役から抜け出しつつあります。
そんな近年のアクアリウム界のブラックモーリー事情を見ていきましょう。
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目次
<目次>
ブラックモーリーの種類 |
ブラックモーリーの飼育方法 |
ブラックモーリーはエビと混泳させると追いかける? |
ブラックモーリーの繁殖方法 |
まとめ |
ブラックモーリーの種類
黒一辺倒の単調な魚と思われがちなブラックモーリー。他のモーリー種とは確かに種類が乏しいですが、徐々に増えつつあります。早速ご紹介しましょう。
ブラックバルーンモーリー
突然変異である奇形種を種として固定し系統立てたものです。泳ぎが下手なので緩やかな環境で飼育します
ブラックライヤーテールモーリー
いわゆるヒレ長種です。こちらも人為的な改良種となります。存在感のあるヒラヒラとしたヒレが特徴的です
ブラックセルフィンモーリー
セルフィンプレコの枕詞として有名で「ヨットの帆」という意味のセルフィン状の背ビレが迫力ある種類です。
ゴールデンブラックモーリー
前頭部がゴールデン種、尾部から腹部にかけ黒みがかるゴールド色とのミックス種です。
ダルメシアンモーリー
厳密にはブラックモーリーの系統ではありませんが、黒色スポットをマダラ状に発生させる遺伝子を持つ魚種なのでご紹介します。完全に黒化してしまう事もあります。
モッピー
グッピーとの交雑種です。魚類は多種と交雑しハイブリッドが産まれる可能性が、他の脊椎動物より遺伝学的に高い生物です。特にモーリーとグッピーは同じ属であり、混泳水槽では極めて稀にですが確認されています。
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ブラックモーリーの飼育方法
草食傾向が強い魚ですが、一般のフレークフードなども問題なく食べます。水槽内のコケ以外にもキチンと給餌します。体長は6〜10cmほどでメスの方がオスよりも一回り大きくなります。小型魚なので机上に置くようなインテリア系の水槽でも問題なく飼育できます。
性格も穏やかです。多少の小競り合いはありますが、執拗に他魚を追い詰めたりはしません。ただブラックモーリー1匹のみを他魚と混泳させた場合はその限りではなく、繁殖モードに入ってしまうと他魚のヒレを突いたり(繁殖行動なんです)テリトリー意識が高まり暴君になってしまった例もあります。最低でも数匹単位の群れで飼育しましょう。
フィルターやその他飼育機器も飼育者の好みやライフサイクルに柔軟に対応できます。ただ水が古くなると病気にかかりやすくなります。最低でも一週間に一度、最低1/3程度の換水は欠かさない様にしましょう。
適正温度も幅広く概ね23〜30℃の間です。
この様にオールマイティーに見えますが水質には気をつけて下さい。ブラックモーリーは実は完全海水にも適応できます。その位アルカリ性に近い水を好むんです。理想は弱アルカリ性〜中性の飼育水です。弱酸性でも飼育不可ではありませんが、弱りやすく寿命も縮むことを忘れないで下さい。
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ブラックモーリーはエビと混泳させると追いかける?
結論から言うと、これは実際に起こります。というのも両者とも「掃除屋」の意味合いが強く、同じ餌、コケなどを食べていると鬱陶しがり追い立てます。気の強い個体などは視界に入るだけで追い払ってしまうでしょう。
実際アクアリウムに適した安価なエビはヤマトヌマエビやミナミヌマエビです。サイズはブラックモーリーと比較するとかなり小柄です。またヤマトヌマエビは抱卵、ミナミヌマエビは純淡水で繁殖をします。その際抱卵する卵や稚エビは、ブラックモーリーだけでなく他魚にとっても絶好の餌です。積極的に襲い捕食するでしょう。
またエビ自体もサイズによっては捕食されます。これは魚の習性上どうしようもない事です。割り切って掃除屋として同居させ続けるか?最初から混泳自体を避けるしかありません。
余談ですがロックシュリンプなどのプランクトン食で巨大化するエビなら安心して同居できます。
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ブラックモーリーの繁殖方法
繁殖については「放っておいても増える」ほど容易です。寧ろ「繁殖しすぎて困る」といった事例の方が先行するほどです。雌雄差は容易で、オスは体長6cmほどとメスより一回りも小さく、腹ビレをよく観察するとその間に突起した生殖器が見られます。
メスは最大10cmになるほど大きくなり、注意深く見ると排泄口付近に「妊娠マーク」という薄ら透けた部位が見て取れます。
繁殖のスイッチが水温25℃と、これまた一般的な熱帯魚の飼育水温以下なので、混泳前提ですと常にスイッチが入り続けた状態です。ホームセンターなどの売り場でも目を凝らすと稚魚がちらほら観察できるほどです。
卵胎生なので稚魚を直接産み落としますが、メスを隔離していないと産んだそばから他魚やオス、そして産んだメスにすら食べられてしまいます。これを避けるにはまずメスの妊娠を見極めます。受精し抱卵しているメスは腹部が極端に膨らみます。また黒色で分かりづらいのですが、出産間近になると妊娠マークに稚魚の目が写り、黒いポツポツが見て取れます。
こういったメスは直ぐに別水槽に隔離します。底部に煮沸消毒したアサやワラなどを敷き詰めると、産み落とされたばかりの稚魚は遊泳能力が弱く、そのまま床材が稚魚を親の目から隠してくれます。出産の終わりはメスのお腹の大きさで一目瞭然です。驚くほどぺったんこになります。元の水槽に戻したのち、労を労い栄養価の高い餌を与えて下さい。
一番簡単なのは市販の産卵ケースです。水槽内部にキスゴムで取り付け、底部は逆三角形のスリット状になっており、稚魚と親を容易に分けてくれます。高価なものでもなく、弱った魚の隔離ケースにも転用できるので、この類の商品の購入がベストですよ。
稚魚はグッピー用の稚魚餌や卵の黄身、アルテミアなど飼料は豊富です。1月ほど経つと身体も成魚らしくなり、2〜3ヶ月で完全に大人になります。
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まとめ
いかがでしたか?
恥ずかしながら筆者も長年掃除屋のイメージが強く、深掘りしたのは今回が初めてです。
調べれば調べるほど魅力的な種ですね。入門種である卵胎生メダカはいつの間にか置き去りにしがちです。