バタフライプレコは“プレコ”の名が付きますが、正確にはコイ目タニノボリ科の熱帯魚であり、ナマズ目ロリカリア科のプレコとは分類上全く異なる魚です。
その風貌は海水魚のエイに似ており、扁平上の胸ビレ・脂ビレなどを使い岩や流木などに身体全体でピッタリと張り付くという、ユーモラスな特徴を持ちます。
そんな一風変わった熱帯魚「バタフライプレコ」飼育の基本やその種類などを詳しく解説していきます。
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<目次>
バタフライプレコとはどんな魚? |
バタフライプレコの種類 |
バタフライプレコの飼育方法と混泳について |
バタフライプレコの繁殖方法 |
まとめ |
目次
バタフライプレコとはどんな魚?
前書きで話したようにバタフライプレコはナマズの仲間である「引っ付きナマズ」こと、プレコストマスとは全くの別種となります。分布域は中国南部からベトナムのメコン川に集中しており、その背中の模様により数多くの種に分けられます。
ご覧の通りの扁平系な身体を持つ渓流魚であり、かなりの急流もその流線型で受け流してしまいます。
基本的には雑食種であり飼育下では冷凍赤虫なども食べますが、基本的には『草食傾向がかなり強い雑食』です。
柄や模様の差はありますが、最大全長6~8cm・平均寿命3~6年という部分は共通していて、余程特別な種でない限り全く同じ飼育方法が行えます。しかも1000円以下で購入でき、積極的に頑固な水槽内の藻やコケを食べてくれるので『クリーニング・フィッシュ』としても重宝できる魚ですよ。
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バタフライプレコの種類
バタフライプレコはかなりの広範囲に生息し、上流・中流などの生息域や食性などにより多くの種類に分類されています。いわゆる一般流通種はその中の一部なので、日本国内で入手不可能な種類・学名すらついてない種類もいるようです。
比較的ペットショップ・熱帯魚店でよく見かける種類を集めてみました。
中国プレコ(チャイナバタフライプレコ)
草食傾向が非常に強く、人工飼料に極めて餌付きにくいという…かなり与える餌に困る種類となります。基本的には屋外の水場に流木や岩を入れ藻を発生させるか?川などで自然採取することが求められます。
その名の通り中国を中心とした東アジア地域に生息し、20~26℃ほどのやや低めの水温を好みます。高水温に弱い面があるので飼育の際は気を付けましょう。
最大全長は約8cmほどになります。
ホンコンプレコ
成長しても3~5cmほどの小型のバタフライプレコです。中国南部からベトナム・東南アジアなどに分布し“チャイナバタフライプレコ”と生息域が重なるのですが、模様と極小サイズの体長で見分けが付きます。
地味な体色をしていますが、繁殖期にはオスの背ビレが青・赤色に色づくなど意外な色合いを見せてくれます。
小さい割に縄張り意識が激しいので同種やコリドラスなどの底生魚との混泳には注意が必要です。
クロコダイルバタフライプレコ
最長で5~6年の寿命を持ち、最大全長がバタフライプレコの仲間では6~8cmと大きな部類に入ります。
特に“クロコダイル”の名が付く様に、かなり複雑で細かなスポットやラインが体表に入り、地味な種類が多いバタフライプレコの中ではかなりの美麗種となります。
分布域はやや南下しベトナム以南です。アカムシ等も好むのですが…やはりコケなどの植物食を中心にしないと長期飼育に繋がりません。
ボルネオプレコ
その名の通り、ボルネオ・インド・ミャンマーに生息するバタフライプレコの仲間です。バタフライプレコの中ではかなりスタンダードな部類で、ショップなどで頻繁に見かける“バタフライプレコ”はこの種が多いでしょう。
例に漏れず他種同様に草食性が強く、22~26℃ほどの低水温域を好みます。
セウェルリア・リネオラータ(ベトナムバタフライプレコ)
学名が示すように、ほぼ「クロコダイルバタフライプレコ」と同一なのですが、ベトナム・メコン川に集中して生息し.sp(species:分類不明の曖昧な種につけられます)として販売されるのでご紹介してみました。
個人的にはクロコダイルの亜種、もしくは模様変わりに近いと思うのですが……
これからの分類次第では独立種となる可能性も否めません。クロコダイルとほぼ同じ要領で飼育可能です。
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バタフライプレコの飼育方法と混泳について
バタフライプレコの飼育にはまず「水温」「餌」という高めのハードルが存在します。
基本的に渓流魚であるバタフライプレコは低水温の方が状態よく飼育できるので、他の熱帯魚と混泳させる場合は低水温を好む魚種である必要があります。もちろん単独飼育の場合はバタフライプレコの好む22~26℃ほどの水温を維持しましょう。
そして課題となるのが与える餌です。
草食性の強い雑食と言いましたが、前提として肉食傾向はかなり乏しい魚種です。そして人工飼料にはほぼ餌付くことがない厄介な面があり、岩や流木を日光に晒し「コケ」や「藻」を発生させるか…かなり強めの蛍光灯を用いそれらを発生させ続ける必要があります。
餌に関しての難易度は率直に言うとかなり高めであると言えるでしょう。プレコフードなども試してみましたが警戒心が強いのか?あまり積極的には食いつきませんでした。
バタフライプレコ飼育は、その水温と餌にかなりの労力を費やします。
その代わりと言っては何ですが水質等にはあまりうるさくなく、中性寄りを好みますが若干アルカリ・酸性に傾いても耐えうる頑健さは兼ね備えています。
そして混泳ですが、基本的に種類ごとにテリトリー(縄張り)が異なるので複雑に石や岩等を組み合わせ、互いの干渉を抑えればまず問題ありません。
底生魚やコリドラスなどのナマズとは低水温で相性が良いのですが、喧嘩をするという情報もあります。
ただ前述の様なレイアウトを組めば、扁平・流線型というかなり異質な体型を持つバタフライプレコは他魚や同種とのいさかいを起こすことはないでしょう。
表層魚・中層魚とは言うまでもなく安易に混泳が可能です。
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バタフライプレコの繁殖方法
繁殖の難易度は熱帯魚中でも最高峰でしょう。
雌雄差は外見からは判別不可です。細身の体型がオス・丸みを帯びるのがメスなのですが、これだけの情報では判別はよほど慣れた飼育者でない限り不可能です。
繁殖に持ち込むコツは多頭飼いです。そのままでは成熟前に争いが絶えないので繁殖用水槽を別途用意しましょう。岩や流木などを用いて入り組んだレイアウトを作成します。
ペアが出来ると画像のよう「“T字スタイル」を取ります。繁殖初期行動で、ここまで持ち込めればほぼ繁殖は成功です。
かなり不確実な情報が多いのですが、一般的には黄色みがかった卵を岩陰に産み付けメス個体が保護すると言われています。
孵化後の稚魚飼料も不明瞭なのですが、まず!動物食ではないので、卵を産み付けた時点で「コケ・藻付きの岩や流木」を充分にストックしておきましょう。
可能性としては太陽光を充分に当てた“グリーンウォーター”も有効かもしれません。
とにかく情報が乏しすぎるので手探りの繁殖&稚魚育成になるでしょう。
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まとめ
バタフライプレコは安価で販売されている割には、未だ判明していない点が多い熱帯魚となります。おそらく現地では大量に採取できるのでしょう。
熱帯魚市場に彼らが登場してからかなりの年月が経つのですが、その原価の安さ故か?安定飼育や繁殖情報などの情報が未だに不足しており、偶然の産物が多い魚種となります。
値段の安さに惑わされずに、ぜひ確立した飼育形態を構築してもらいたいものですね。