シリケンイモリはアカハライモリと並び、ペットショップでよく見かけるイモリ類です。
ショップのストック方法や、その姿形がアカハライモリに酷似しているので、ついつい勘違いをしてしまい同じ飼育環境・飼育用品を使うケースが後をたちません。
本種は国内固有種ですが、亜熱帯地域である奄美諸島・沖縄本島及び琉球諸島が生息域であり、アカハライモリの飼育とは分けて考える必要があります。
本記事では、そんなシリケンイモリの飼育環境・飼育用具の選び方を始めとし、飼育時のオススメ用品にもスポットを当てて行きたいと思います。
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〈目次〉
シリケンイモリ飼育環境について |
シリケンイモリ用具の選び方 |
必須用具でオススメな用品とは? |
あると良いオススメの用具 |
まとめ |
目次
シリケンイモリ飼育環境について
前書きで説明した通り、シリケンイモリは日本の固有種であり、鹿児島県奄美諸島および沖縄県や、その周辺の琉球諸島に分布します。
絶滅危惧種で保護対象である「イボイモリ」と生息域がほぼ重なりますが、イボイモリとは分類状の隔たりがあります。
自然界のシリケンイモリは陸棲傾向が高く、産卵期・極端な高温低温時以外は基本的に、水辺の草むらや茂み等で暮らします。
飼育環境もこれに合わせて、陸場を広く取りましょう。
ただ、かなり臨機応変なイモリであり、完全なアクアリウムでも飼育可能です。
その際は、市販品の小亀用の浮島や発泡スチロール・ホテイアオイなどの浮きで、水面に陸場を作り上げて下さい。
水草をたくさん入れると足場代わりにもなりシリケンイモリも落ち着きます。
熱帯魚用ライトを使うと、観賞用の見栄えが良くなり、水草の育成にも繋がるので一石二鳥です。
ケージはプラスチック系・水槽・専用ケージだけでなく、衣装ケース・プラ舟など、水漏れせず有害なものを含まなければ何でも使えます。
脱走防止用の蓋は必需品です。
南方種であるシリケンイモリは本土のアカハライモリの様に、冬眠は一切行いません。
冬場はエアコンや熱帯魚用ヒーター・プレートヒーター・暖突などを駆使し、空気と水の両方を温める必要があります。
シリケンイモリは高温耐性も強いのですが、連日30℃を超える真夏日が続けば、流石に対処する必要が生じます。
クーラーをかけ続けるのが手っ取り早いのですが、電気代が不安な方はアクアリウム用の冷却ファン・強めのエアレーションで数℃ほど水温を下げられます。
シリケンイモリの適正温度は20〜26℃前後であり、数℃程度の誤差ではビクともしません。
高温時には水場に退避する性質を持つので、この程度の高温・低温対策で問題ない環境づくりが可能です。
床材や底砂は腐葉土や黒土・大磯砂や田砂を使用しましょう。
水につけ軽く絞った水苔を床材の上に置くと、擦り傷防止や適度な湿度維持に繋がります。
シリケンイモリは温暖な気候下に生息するので、他のイモリ類・特にアカハライモリと比べて代謝が多く、非常に活発に動き回ります。
現地では苔むした環境で育つので、流木や石・岩などにはテグスを巻き付け、ウィローモスを活着させると良いでしょう。
事故の心配も減り、何より本来の環境に近いので、シリケンイモリも喜んでくれます。
正直言うとシリケンイモリを始めとする両性類・有尾類の環境は、一度拘ると際限がありません。
飼い主が書籍やWEB状の情報を集約し、うまく取捨選択を行い、シリケンイモリ用の飼育環境を作り上げてあげましょう。
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シリケンイモリ用具の選び方
シリケンイモリ専用の用具というものはまず無いので、飼い主さんは他のペット用品を流用する癖を身につけて下さい。
その活発な運動量・ケージ内気温・冬眠をしないという3点を除けば、ほぼアカハライモリ飼育に使う用具をシリケンイモリにも転用できます。
まず活発な運動量を持つので、他のイモリ類より大きめなケージを選びます。
水槽の標準規格で例えると「45〜60cm規格水槽」の大きさが適切でしょう。
もちろん広いことに越した事はありませんが、餌やりや水換えにかなりの労力がかかってしまうので、ほどほどのサイズに留めた方が逆に飼いやすくなります。
この大きさならば水槽はもちろん、プラケース・専用ケージ・プラ舟・衣装ケースなど様々な物が流用可能です。
肝心の気温ですが、シリケンイモリは水棲・陸棲生活を同時に行うので、水と空気を温めなければいけません。
水場を加温するのは容易で、水量も少ないので小型のサーモスタット内蔵のヒーターを使いましょう。
アクアリウムの場合は水容量に応じたワット数のヒーターを選んで下さい。
活発なシリケンイモリですが、熱帯魚と比べるとやはり動きは緩慢です。
そのため火傷防止のため、ヒーターカバーは必ず取り付けてあげます。
空気を温めるには爬虫類用ヒーターが最適です。
平面状のプレートヒーターをケージ側面に貼り付けるか「暖突」でケージ内の気温を丸ごと温めても良いでしょう。
電気代や同居ご家族の理解が得られるのなら、冬場のみエアコンを掛けっぱなしにするのが、最も手っ取り早い方法です。
反対に連日酷暑日が続く真夏時は、冷却ファンや強めのエアレーションが有効です。
水温・気温共に下げる方が難しくエネルギーもかかるので、高温時に水中形態を取る特性に甘え、この時期は完全なアクアリウム飼育に切り替える選択肢もあります。
その際は呼吸のための休息地を「小亀用の浮島」や「発泡スチロール」などを使い、水面に用意しましょう。
用具とは言い難いですが「マツモ」「カボンバ」「ホテイアオイ」等の水草も効果的です。
ホテイアオイは自然下に近い休息地に、そしてマツモ・カボンバは足場や隠れ家として役に立ちます。
この3種は水草の中でも特に枯れにくく丈夫です。
もちろん飼育者の好みで、他の水草を植え込むこともできます。
水面に突き出す様にレイアウトした「流木」や「石・岩」なども、自然物だけありシリケンイモリに馴染みやすいと言う特徴を持ちます。
特に岩や石に対しての注意点ですが、シリケンイモリが登っても傷つかない様に、鋭利な角やゴツゴツとした物は避けましょう。
念のために先程はお話ししたウィローモス等をそれぞれに活着させ、クッションとして使う方法もあります。
最後に「蓋」の重要性についてはお話ししましたが、シリケンイモリを始めとした殆どの有尾類は“高温多湿”になると、呆気なく弱ってしまいます。
市販の蓋は必ず空気の通り道がある物を選び、自作する場合も適宜ネットなどで風邪周りを良くして下さい。
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必須用具でオススメな用品とは?
シリケンイモリの観賞や健康チェックの観点から見ると、やはり水槽飼育が最も適しています。
規格準拠の製品が多いのもポイントで、他のケージの様に工夫を凝らさなくても、開封した時点で即使えるのもオススメする点です。
飼育に慣れたシリケンイモリは稀に底砂を誤嚥し、消化器官の閉塞を起こしがちです。
一度閉塞を起こすと助かる可能性に乏しいので、誤嚥しても排泄できるサイズか?そもそも誤嚥できないほど大きなサイズの底砂が予防に繋がります。
この点でも極小粒の「田砂」や、中サイズ以上の「大磯砂」を推奨します。
また代謝が大きいと言う事は、当然ですが排泄量も多くなります。
頻繁な水換えで対処できますが、ビーシュリンプ用の伸縮可能な小型網や、アクアリウムの場合「フィッシュレット」を使い排泄物を集められます。
サイフォンの原理を使った「水替用ホース」も、一々ケージを移動する手間が省けるので、オススメできる用品です。
大抵は吸引口が網目状になっており、水換えと同時に底砂の代謝物も吸い込めるので、一石二鳥の役割をこなしてくれます。
飼育者によりますが、ここ数年で市場に出回り始めた「LEDライト」も観賞面・水草育成の観点から、お役立ちになる商品です。
初期はかなり高額でしたが、徐々にその値段も落ち着いています。
また既存の蛍光灯ライトにはめられる「LED型蛍光灯」も、新たに買い付ける必要が省けるので強くオススメします。
実際筆者も使ってみましたが、水草や観葉植物等は問題なく栽培でき、イモリ自体にも害は全くありませんでした。
要となる餌ですが人工飼料を食べる様に慣れば、テトラ社から販売される「テトラ・レプトミン」というカメ用の総合栄養飼料が、イモリ飼育者では最も多用されています。
スティック状をしており、本来は水棲カメ用に浮かべて与える人工飼料ですが、軽く湿らせ鼻先で揺らすと物凄い勢いで食べてくれます。
シリケンイモリ飼育はこのレプトミンと、たまに生き餌を併用する事で問題なく飼育できます。
ただ、食害虫が湧きやすい点があるので、強く密閉し必要に応じて冷蔵保存すると良いでしょう。
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あると良いおすすめの用具
シリケンイモリに限らず有尾類・イモリ類は、ある日突然人工飼料を拒食することがあります。
そういった時に役立つのが「冷凍飼料」です。
冷凍アカムシ・冷凍川エビ・ディスカスハンバーグ等が良い冷凍飼料でしょう。
拒食に備え予め冷凍庫などにストックしておきましょう。
拒食に至らなくても、普通に栄養補助飼料としても有用で、日常の餌やりの中でも使えるメリットがあります。
そしてシリケンイモリ飼育は水や土壌が汚れやすいので、一時的なストック容器は確保しておいて下さい。
大掛かりな物ではなく、普通のバケツやタライなど一時的な物で構いません。
水をため砂利を洗ったり、用具も洗浄できるので、汚水を適切な場所まで運ぶことも可能です。
滅多に起こりませんが、サイズ差が大きいと稀に共食いをしてしまうこともあります。
その際、脚部や尾部を欠損するケースもあるので、弱った個体を隔離するための別ケース…隔離ケージを用意しておくと良いでしょう。
基本的に動くものには何でも食いついてしまう習性を持つので、多頭飼いの場合はそのままにしておくと、執拗に噛みつかれ衰弱死してしまいます。
寒気や真冬には防災グッズにも使われている、アルミ製の保温シートをケージ側面・底部に巻きつけると、より保温性が増します。
これは電気代節約のため、爬虫類や熱帯魚飼育でも多用されており、仮にブレーカーが落ちたり停電した際にも急激な温度の低下を防いでくれます。
多少景観は損ねますが、シリケンイモリの命には変えられないので、是非一度使用してみて下さい。
陸場を主体に飼育する際は、その生息環境に合致した「観葉植物」を植え付けると、シリケンイモリのストレス軽減にも繋がります。
観葉植物と限定しなくても、飼育環境に合う植物…雑草などでも一向に構いません。
植え付けの際は農薬や自動車等の排気ガス・犬猫の排泄物等が付着している可能性があるので、濡れタオルなどで丹念に拭いてから植え付けて下さい。
因みに筆者の飼育環境では100円ショップのミニ観葉植物を多用しています。
その中でも「ポトス」はまず、枯れることがなく成長も早いので、かなりオススメできる観葉植物です。
この様に“あると良い・便利なおすすめ用具”は後を経ちませんが、基本はシリケンイモリにとってプラスになる物を選んで下さい。
あくまで飼育の主役はシリケンイモリと言う事を常に念頭に置き、応用や融通の効く用具を探し出すのも、飼育の醍醐味となるのです。
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まとめ
シリケンイモリは確かに日本固有種ですが、亜熱帯地域に特化した生き物であり、本土ではあらゆる面で気を使う必要があります。
本来の生息地とは全く異なる環境で飼育している事を忘れない様にしましょう。
大切に飼育し長期間経つと、飼育者の気配を察知し餌をねだるほどにもなります。
非常に魅力的な生き物なので、適切な飼育用品・用具を使い、上手な飼育に繋げ長生きをさせてあげましょう。