シリケンイモリの飼育方法や値段は?特徴や注意点も解説します!

sword tailed newt | Okinawa Nature Photography


日本には3種類のイモリが生息しています。
今回ご紹介する「シリケンイモリ」そして「イボイモリ」「アカハライモリ」です。

この内、イボイモリは県の天然記念物・サイテス入りしているので飼育は不可能です。
ただ同地域に生息しているシリケンイモリには、飼育規制はかかりません。

このシリケンイモリ、パッと見るとアカハライモリと遜色がありません。
しかし事細かに観ていくと、南国種らしく興味深い特徴を多く持ち合わせています。

そんなシリケンイモリ、その飼育方法や生態について説明していきましょう。

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〈目次〉

シリケンイモリの特徴・生態とは?
シリケンイモリの飼育方法
シリケンイモリにかかる飼育費用や価格について
シリケンイモリの注意点
まとめ

目次


シリケンイモリの特徴・生態とは?

Photos of Sword-tailed Newt (Cynops ensicauda) · iNaturalist
出典:iNaturelist シリケンイモリの野生個体。




シリケンイモリは漢字表記が「尻剣井守」…つまり剣の様に尖った尾を持つことから、この名が付きました。

アカハライモリの様な水棲種は尾をくねらせながら泳ぐため、基本的にパドル状・オールの様な形を取ります。
反対にシリケンイモリの尾は鋭く尖っており、こちらは陸棲種に良く見られる特徴です。


この尾が物語る様に、シリケンイモリは陸棲傾向が強いイモリ類です。
自然下では繁殖期や極端な高・低温期以外は、鬱蒼とした雑木林や水辺の草むらなどが主生息域です。


アカハライモリにそっくりと言いましたが、その背中には俗に言う「金粉模様」、ラメ状の黄金色の斑点が見られます。
赤腹というよりオレンジ寄りの腹部色を持ち、その色は掌まで及びます。

中には全身に金色が入り、まるで黄金色一辺倒のシリケンイモリも確認されています。

非常にレアな希少種なので、いざ巡り会えても、万単位のお値段に挫折してしまう事でしょう。


よく飼い込まれた個体は、全長がオス14cmメス18cmに達し、アカハライモリより遥かに巨大化します。この点で簡単に判別がつきます。


鹿児島県の奄美諸島・沖縄県の琉球諸島に分布しており、各島が隔絶されるため産地ごとの個体差が特に際立つイモリです。

生息地ごとに『アマミシリケンイモリ』『オキナワシリケンイモリ』の2亜種に分かれますが、未だに分類についての議論が絶えません。

一般流通種は「オキナワシリケンイモリ」が「シリケンイモリ」の流通名として、その大半を占めます。

「アマミシリケンイモリ」は一般的なショップではなかなか取り扱わず、爬虫類系のイベントなどに参加するとちょくちょくお目にかかります。

シリケンイモリとは - 生態や形態の特徴解説 - ZUKAN(図鑑)
出典:ZUKAN アマミシリケンイモリの成体。オレンジ色のラインが特徴です。




オキナワシリケンイモリ(シリケンイモリ)と違い生息地が限定されるので、かなり良いお値段となります。

アマミシリケンイモリは背中にオレンジ色の線(キール)が入り、オキナワシリケンイモリ(シリケンイモリ)はラメ状に金粉模様が入るので、簡単に区別する事ができます。


食性は完全な肉食で、蜘蛛や昆虫類・ナメクジやカタツムリ・ミミズなどの陸棲小動物、カエル類のオタマジャクシといった豊富な生き物を捕食しています。


12月から翌年5月ごろまで、時には初夏から秋にかけて繁殖期を持ち、ほぼ一年中子孫を残します。

イモリ類に良く見られる特徴ですが、繁殖期には尻剣の尾が、縦長に広くなり水棲形態に変わります。

卵から産まれ上陸した幼体は、約2〜3年程度で性成熟し、再び子孫を残すライフサイクルを取ります。


データが乏しいのですが野生下最大寿命は約30年とも言われており、適切な飼育下では20年ほどは生きると言われています。

下手をすれば親子二世代どころか三世代まで末長く飼育できるイモリです。

丁寧な飼育を心がけ、ぜひ長生きをさせてあげましょう。

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シリケンイモリの飼育方法

出典:ペットワールドアミーゴ 小さな水場を作った飼育方法です。




アカハライモリより大きく育つので、分かりやすく水槽規格を例に挙げると、45〜60cm程度の大きさが適しています。

陸生傾向が強く、立体活動を盛んに行うので体長の3〜4倍ほどの高さを持つケージを選んで下さい。

脱出防止のための蓋は、この種でも必需品です。


南部地方を原産とするので、夏場は基本的に外気温に沿った飼育が可能です。

ただ極端な酷暑日には、エアコン等を低めの設定で稼働してあげましょう。


陸場はケージの2/3ほど確保し、保湿性の高い腐葉土や黒土・水苔等で作り上げるのがベストです。
しかし水場を必ず用意するので、使う用土はそれほど気を使わなくても構いません。

概ね1/3以上を水場にしますが、陸地に染み出しビチョビチョになってしまうので、大きめのタッパーなどに水を入れても良いでしょう。


シリケンイモリは生息環境が幅広いので、アカハライモリ同様に亀用の浮島・流木・石や岩等を水上に置く、アクアリウム準拠でも飼育可能です。

飼育者が管理しやすい環境を選んで下さい。


亜熱帯地域に生息するので、シリケンイモリは冬場の冬眠は一切行いません。


そのため冬場は必ず熱帯魚用ヒーターで水を温め、ケージ内の空気は爬虫類用ヒーターを用い、気温・水温共に20〜26℃に保ちます。

思い切ってアクアリウムにし、水中はヒーター、陸地は蛍光灯で温める方法が手っ取り早いでしょう。


餌は生き餌が望ましいですが、飼育を続け慣れ始めると人工飼料や、スーパーで購入する貝類・魚介類などに容易に餌付きます。

店頭で入手可能な生き餌は「コオロギ」「ゴキブリ」「イトミミズ」「メダカ」「ハニーワーム・シルクワーム」等が主流です。

動きの早い昆虫類は弱らせてから与え、メダカは尾鰭をピンセットで摘み与えましょう。

イトミミズや各種ワームはその動きで食欲を促すので、導入初期や拒食時に有効な餌ともなります。


長期間、生き餌で飼育するには経済的に厳しい面があるので、徐々にイモリ専用フードやレプトミンなどに切り替えるのがベストです。

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シリケンイモリにかかる飼育費用や価格について

楽天市場】(両生類)オキナワシリケンイモリ(1匹) 北海道・九州航空便要保温 : charm 楽天市場店
出典:楽天市場 アクアリウム環境のセッティング例です。




シリケンイモリへの初期投資は、そのケージが大半を占めます。


プラスチックケースなら1,000円前後、水槽はピンキリですが45cm規格で約2,000〜3,000円ほど、60cm規格では3,000〜4,000円程度です。

両生類・爬虫類用専用ケージは飛び抜けて割高であり、8,000〜15,000円はかかるものと見て下さい。


次に床材・底砂ですが…陸地主体の飼育の場合、その床材は園芸店・ホームセンター等で売られているもので構いません。

この際は素材に気をつけ、化学肥料などを混ぜ込んだものは決して使わない様にします。

腐葉土や黒土等は5〜10リットルで300〜600円程度の値段です。

保湿のため多用される「水苔」は圧縮されたものが、200〜300円ほどで売っています。

これらをうまく組み合わせ、理想的な土壌を作り上げます。


底砂の「大磯砂」は熱帯魚用の砂で最も安価であり、「田砂」はそれよりやや高いお値段です。

こちらも使う量によりけりですが、500〜700円ほどの量数でほぼ問題ありません。

水草を植え付けたい場合は、それより多めに購入しましょう。

出典:楽天市場


流木や岩・石は大きさに比例して価格が上昇する上に、ショップごとに大きな開きがあるので断定しづらく、実際価格を確かめるしかありません。


マツモ・カボンバ・ホテイアオイは水草の中でも最安値であり、200円出せばお釣りは確実に貰える価格帯です。

蛍光灯や日の光に当てれば、どんどん増えていくので、うまく育て上げて繁茂させてみましょう。


初期投資の他に、餌や電気代などの「継続費用」がありますが、シリケンイモリ飼育では微々たるものです。

蛍光灯からLEDが主体になった様に、販売各社がそれぞれ競合し、各用具にかかる電気代のコスト削減を売りにしています。

確かに生き餌は費用がかかりますが、一旦人工飼料を食べる様になれば、年単位での購入で済むほどです。

水道代なども含めると年間2,000円もかかりません。


初期投資・継続費用の飼育費用をまとめると、年間で最大20,000円ほど、最低で4000円となります。

工夫次第では更なる安さも見込めます。


そして肝心のシリケンイモリの生体価格ですが、一匹500円ほどとなります。


シリケンイモリを始めとした国産イモリ類は、飼育にかかる費用と生体価格が非常に安く済みます。

そのため、ろくに面倒を見ないショップもたくさん存在します。

シリケンイモリの飼育に必要となる用具については下記の記事の方で詳しく説明しています。

この記事では、シリケンイモリの飼育に必要となる用品からあると便利な飼育用品からおすすめのものなどについて調べてまとめている記事となっています。

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シリケンイモリの注意点

Japanese Sword-Tail Newts Feeding (Cynops e. ensicauda) - YouTube
出典:Youtube イトミミズを食べるシリケンイモリ。




シリケンイモリもまたアカハライモリと同じくごく微量の毒性を持つので、触れた手はキッチリと洗い流して下さい。


ケージ壁面をつたい脱走するのはイモリ類全般の共通点・注意点となります。

特に餌やりの後の蓋の閉め忘れ…という事例が大半を占めるので、その都度、蓋をする癖は必ずつけておきましょう。


よくアカハライモリと同居する飼育者がいますが、互いの毒性で共倒れになる可能性もあるので、できる限りシリケンイモリ一種のみの飼育をオススメします。

また本来は陸生種に近い傾向を持つので、長期間アクアリウムで飼育すると、調子を崩す場合があります。

そんな時はアクアテラリウムに即座に切り替え、シリケンイモリが自ら陸場・水場を選択できる環境に移行しましょう。


人工飼料に切り替える際も、動きがなければ食いつくことはまず有り得ません。

ピンセット等で人工飼料を軽く摘み、シリケンイモリの鼻先で小刻みに動かしてあげましょう。


またシリケンイモリを始めとする両生類は「皮膚病」に気をつける必要があります。

シリケンイモリは口から水分を摂らず、その皮膚から摂取する特徴を持ちます。

前述した清潔さ・有害物質等が混入したケージ、そして水換えを長期間さぼってしまうと、自らの排泄物などで簡単に「皮膚病」に陥ります。


シリケンイモリを始めとしたイモリ類にとって、その皮膚はある意味「呼吸」「水分摂取」を兼ね備える重要な器官となります。


特にイモリ自身の排泄物等で罹患するケースは「自家中毒」と呼び、両生類の飼育において頻発する疾患です。

排泄物や老廃物を再吸収するので、当然大きなダメージを負い、皮膚がただれて充血したり、腐った様に剥がれ落ちてしまいます。

この「皮膚病」「自家中毒」は薬剤耐性に乏しいシリケンイモリにとって、一旦発生してしまうとほぼ助かる見込みはありません。

予防が大前提ですので、こまめな水換えや日常の体調管理を決して欠かさない様にして下さい。


そして致命的な疾患として「カエルツボカビ症」が挙げられます。


この病気は両生類にとって致死率が実に100%です。

両生類全体の危機とも言われましたが、一時期に比べて落ち着きを取り戻し、話題になる事も少なくなりました。

ただ原因不明の突発死が見られたら、死骸は土に埋めたりせず、ビニール袋で何重にも包み廃棄して下さい。

ゴミとして出すのはかなり気が引けますが、仮にカエルツボカビ症で死亡していれば、土を介して自然界に再度病原体がばら撒かれてしまいます。


最後に、何らかの理由で飼いきれなくなった個体を野外に放逐するのは、決して行ってはいけません。

生き残ったとしても良い結果に繋がることはあり得ないので、一度手に入れた個体は最後まで必ず面倒を見ましょう。

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まとめ

かなり厳しい事を言いましたが、ここ数年の間に「種の保存法」が制定され、アメリカザリガニやウシガエル・ミシシッピアカミミガメの捕獲や商取引の規制が強まっています。

シリケンイモリの飼育はかなり容易であり、仮に繁殖に成功すれば100匹前後の幼生が誕生します。

大切に飼育し繁殖に持ち込める事は喜ばしいのですが、必ず先を見据え計画的に行う様にしましょう。

シリケンイモリの飼育自体にも同じ事が言えます。

20年を越す寿命を持ち、一家の「ぬし」にもなり得るのがシリケンイモリです。

現地では開発も進み、イボイモリと共にその数も減りつつあるので、安価なイモリと考えず大事に育ててあげましょう。

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