元々、黄色いカーペットパイソンの座は長い間“ジャガーカーペットパイソン”がその座を占めてきました。
その登場から月日が経ちなかなかクオリティの高いジャガーカーペットパイソンが流通せず、徐々に人気が下火になってきたちょうどその頃、衝撃的なデビューを果たしたモルフが今回紹介する『ジャングルジャガーカーペットパイソン』です。
ジャガーカーペットパイソン・ジャングルジャガーカーペットパイソンは元々コースタルカーペットパイソンの変異種・モルフという説が多く、丈夫種であり…そしてジャガーの形質が共優性でペアリングしても確実に発現する事から、一躍人気種となりました。
今回はジャングルジャガーカーペットパイソンの基本的な飼育方法等を説明していきたいと思います。
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目次
ジャングルジャガーカーペットパイソンとは
ジャングルジャガーカーペットパイソンはジャガーカーペットパイソンから派生したモルフですが、黒模様に対し地肌の黄色みがかなり強くなり、ことさら目を惹きつけるモルフです。
原種はオーストラリア・クイーンズランド州とニューサウスウェルズ州の東海岸沿いに生息しており、平均全長は1.8m~2.4mほどになり、最大全長は実に4.5mに達する事もあります。体長の割には細身の胴回りをしています。
幼蛇の頃は体色はやや地味目ですが、その成長に伴い地肌がほぼまっ黄色になるカーペットパイソンです。そのため飼い込んで、より黄色の発色を際立たせる楽しさも兼ね備えます。
少し難しい話ですが遺伝学上で言う所の「共優性」を持っています。この「共優性」はアルビノなどの「劣性遺伝」とは異なり、ペアリング・繁殖を行うと必ずジャングルジャガーカーペットパイソンの特徴が出るというものです。
飼育自体は他のカーペットパイソンと同じくかなり簡単な種類です。価格がかなりのネックとなりますが、かつてジャガーカーペットパイソンが一般に浸透し頑張れば手に届く種に変遷した様に、ジャングルジャガーカーペットパイソンも月日が経ち頻繁に流通するようになれば、お求めやすい価格になる事でしょう。
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ジャングルジャガーカーペットパイソンの最大値と飼育方法
ジャングルジャガーカーペットパイソンの最大値はニシキヘビの仲間なので、稀に巨大化することがあります。その最大値は概ね4.5mほどですが、平均サイズは1.8~2.4mほどになります。
飼育方法は前述の様にそこまで難しい種類ではありません。
ケージは水槽や衣装ケース・爬虫類ケージなどあらゆるものが使用できますが、基本的に運動量が多いヘビなのでなるべく底面積が広いケージを用意してあげましょう。つい2~3年前のアミメニシキヘビ脱走騒動は記憶に新しいと思いますが、一度脱走させてしまうとメディアなどをひどく騒がしかねません。そのためいずれのケージを使用するにも“脱走防止”のため、頑丈なフタは必需品です。
気温は生息地「オーストラリア」の環境に合わせ気温は26~27℃を維持し、ホットスポットは32℃くらいに設定し十分なバスキング環境を用意して下さい。夜間はケージ本体の気温を数℃下げ23~25℃ほどに設定します。
また水分補給や脱皮代謝の促進のためジャングルジャガーカーペットパイソンがとぐろを巻いた状態で、すっぽりと収まる水容器も設置する必要があります。湿度維持にもつながるので一石二鳥でしょう。
滅多にないのですが、水容器の水温が低すぎると逆に個体がダメージを受け風邪を引くので、簡素な温度計を入れておくのも良いでしょう。
要となる餌ですが、自然界での主食は樹上傾向が強いので“鳥類”・“哺乳類”などの恒温動物となります。完全な樹上種ではなく時折地面を移動し、他の爬虫類「ヤモリ」「トカゲ」なども口にするので“おやつ”として時々与えても良いかもしれません。
もちろん成長に応じ餌を変える必要がありますが、幼蛇にはピンクマウス・成体にはラットなどの巨大哺乳類を与えることで餌の面は十分クリアできます。
床材は賛否両論ですが、爬虫類用サンドでもいいですし、ペットシーツや新聞紙等も使えます。
“樹上種”ということで木の枝を入れたがる方もいます。確かに枝に絡まり本来の野性味を取り戻しストレス解消になる場合もあります。ただ野性身を取り戻す=凶暴性が増す…という結果にもつながるので、枝などは特に入れても入れなくても構いません。
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ジャングルジャガーカーペットパイソンの生体値段と飼育費用
ジャングルジャガーカーペットパイソンはその黄色の発色具合…そして黒色スポット・ラインの入り具合でかなり値段が乱下降するヘビです。
ショップやWebサイトなどで調べてみましたが、概ね50000~110000円ほどとかなりの差がつくようですね。その色合いを文字通り売りにしているので、色味がくすむ個体ほど安くなるようです。犬・猫の様に優秀な親から産まれた個体は、それだけで高値となります。
飼育費用で最も高額になるのは『ケージ』です。ただケージは安くすまそうと思えば、ホームセンターなどの衣装ケースなどでも十分飼育可能なので、こちらもまた上下の振り幅が大きいでしょう。
初めて飼育される方や観賞目的で購入される方は、なるべくショップで販売されているような『爬虫類専用ケージ』で飼育することをお勧めします。初期装備でコード類などを通す穴や鍵付きのフタなどが用意されており、やや割高になりますが手間や脱走などの危険性はグンと減るからです。
この様な専用ケージは30000~50000円ほどと割高になりますが、グングンと大きくなるジャングルジャガーカーペットパイソンです。後々のことを考慮するとこのタイプのケージを1つ持っているか?いないか?で飼育の安心度がかなり変化します。
また例に漏れずジャガーカーペットパイソンも変温動物であり“日中の代謝アップ”・“給餌後の消化”のための体温を自ら上げることは一切できません。そのため32~35℃程度のホットスポットをバスキングライトを使いケージ内に設けてあげましょう。成蛇は最大ワット数を用いる必要があるのでソケットやバスキングライト自体で概ね10000円ほどでしょう。
ヘビの仲間はカメなどと違い紫外線の類は一切必要としませんが、金銭的に余裕があればライトアップをし昼夜の意識づけ・観賞用の見栄えの2点を取っても問題ありません。
そして最も大切な気温ですが、個体の大きさ・ケージの大きさから“プレートヒーター”などは補助的にしか使えません。もちろん複数設置すれば問題ないのですが、熱上昇を抑えるための「爬虫類用サーモスタット」は必須ですし、そもそも高額になる各社プレートヒーターの最大ワット数を用意しなければなりません。全て揃えれば確実に数万円はします。
これらの方法で飼育できなくもありませんが、メーター越えの大蛇は基本的に『エアコン飼育』が一番向いています。管轄電力会社にもよりますが2000~3000円ほど月々に上乗せされる程度でしょう。
どちらを選ぶかは飼い主さんの飼育スタイル次第です。
こちらは3者ともに安価で済み、上手くやりくりすれば1000円以下で収まります。水入れはそもそも水が入れば何でも利用でき、床材等は高価なペットシーツやウッドマット等を使わなくても新聞紙で間に合います。枝は本当にお好みで入れるので、あってもなくても構わないからです。
その他には冷凍飼料…いわゆるマウスやラット等が挙げられますが、そこまで頻繁に給餌が必要な生き物でもありません。成体で月に2~4回ほどラットを与え、幼蛇では安価なピンクマウスで済むので、ことヘビ類に関しては餌代はほとんど負担になりません。
生態価格・飼育設備の初期投資がネックとなりトータルが約20万円近くになりますが、その後は経済的負担が少ない上に15~20年の寿命を持つ“ジャングルカーペットパイソン”です。
飼育のコツの一つに『初期投資をケチらない』ということが重要点ですね。
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ジャングルジャガーカーペットパイソンの繫殖方法
まずカーペットパイソンは生息地「オーストラリア」では“乾季”・“雨季”を持つ地域に生息し、森林地帯や砂場などの乾燥地帯を森から森へと移動します。
オーストラリアの気候はかなり複雑であり、カーペットパイソンの生息地は「温帯性気候」「亜熱帯性気候」が重なるような地域に住んでいます。砂漠地帯も混じるので普段は27~30℃ほどの気温ですが、冬季になると3~4℃ほど気温が低下します。
このクーリング期間を乗り越えることでホルモンが分泌され、繫殖のスイッチが入ります・雌雄ともに発情するので飼育下でも温度を下げる『クーリング』は必須となります。クーリングのやり方は国内でも気温が低下する冬場に行います。おおよその目安ですが2週間から1ヶ月ほどクーリングを施しましょう。春から夏にかけて気温が上がるので、産まれた幼蛇も育てやすく、このタイミングに合わせクーリングを施しましょう。
ケージ内の気温を3~4℃下げるのは当然ですが、雨季は日も短くなるので普段より2~3時間ほど光を当てるのを短くし、ライトなどを使わない場合は暗幕等で光を遮断して下さい。この際急激に下げると風邪をひき個体が弱ってしまうので、ゆっくりと下げることを心掛けましょう。
気温が暖まり始めた春先頃には通常の飼育に切り替えて下さい。
親蛇の代謝を促すだけではなく、メス個体は卵の出産、そして卵の面倒を見ている時期には餌をほとんど口にしません。卵塊を守っている個体の健康に後々響くので、クーリング前はラットなどの餌を頻繁に与えるようにします。これはオス個体も同様です。
年齢は生後3年間ほどで性成熟するので、十分飼い込んだ個体同士をペアリングさせて下さい。
オスはテリトリー意識が強いので、ペアリングを行う際は必ずメス個体のケージに入れお見合いさせて下さい。
1時間待っても交尾に至らなければオスメス個体を引き離し、1時間のスパンを取り再度1時間のお見合いをします。何回やっても交尾に至らない場合は十分な性成熟を起こしていない場合があるので、もう少し飼い込んで来年・再来年に再度チャレンジしましょう。
産卵し放っておくとメスがとぐろを巻き卵塊を積極的に保護します。そのままお任せでもいいのですが…孵化に要する温度は30℃以上・湿度は限りなく100%に近い環境を用意しなければならないので、大半の飼育者が“人工孵化器”を用います。
孵化器は水分を蓄えやすい各種用土や人工芝を使用します。
衣装ケース等を加工し通気性を良くして、その上に卵を置き付けましょう。湿度は最低でも90%の超過湿状態を維持しなければならないので、人工芝の下などに水を張っても良いでしょう。ただし卵が呼吸できなくなるので直接水分にはつけないで下さい。
そのため気温30℃、湿度90%以上を測定できる『温湿度計』は必ず設置し、こまめに目視で孵化器の環境をチェックしましょう。通気性も必要とするのでフタなどをくり抜いて網状のものを被せるように加工して下さい。
正常に胚が発達すると約50~60日ほどで幼蛇が孵化に至ります。
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まとめ
ジャングルジャガーカーペットパイソンは比較的近年にジャガーカーペットパイソンから作出されたモルフです。
そのため他種と比べるとペット化されており、比較的人馴れする部分も魅力的なカーペットパイソンとなります。
ただ2mにも達する大型種なので、不意に見せる野性味で怪我をすることもあるので、導入当初は餌やりの際などに皮手袋等で自己防衛するのをくれぐれも忘れないで下さい。