セントラルカーペットパイソン飼育~成長速度や荒い気性・モルフについて~

セントラルカーペットパイソンはオーストラリア内陸部の極めて乾燥した地域に住むカーペットパイソンです。

オーストラリア政府は動植物の輸出が非常に厳格であり、一昔前は全く流通しない「幻の蛇」とも言われていました。しかし苦労して手に入れた個体を軸に、EU諸国を中心に盛んにブリーディングがされるようになります。その結果、近年は入手自体はさほど難しくありません。

乾燥地域に生息しますが、現地では小川近くなどの水場付近で見られることが多く、決してカラカラの環境で飼育する類のヘビではありません。

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目次

セントラルカーペットパイソンはセントラルパイソンのモルフ

出典:Tumblr 赤みが非常に強いハイポメラニスティック個体

セントラルカーペットパイソンは長い間カーペットパイソンの亜種「Morelia spilota bredli」 と分類づけられてきましたが、近年は完全独立種として認識する学者が多くなってきたようです。色々と調べましたがこの点は以前として決着がついておらず、現状宙ぶらりんの様子です。

かなり分類づけが曖昧で「カーペットパイソン亜種」とされる事もあり、単純に“オーストラリアパイソン”の1種として見なされ『セントラルパイソン』の名で販売されていることもあるほどです。

有識者の目線でなければこのヘビがどちらに属するかは全く見分けがつかず、インボイスネームも2つに割れることから、購入する際に混乱される飼育者も多いでしょう。

もちろんお互いがどちらかの『モルフ』という訳ではなく、単純に分類学・卸業者・小売り業者の間で統一見解がないことから著しく混乱を極めているだけです。ただセントラルカーペットパイソン・セントラルパイソンの二つの名を持つヘビは、ほぼ99%同一種と見做してください。

直近の考え方・分類法ではカーペットパイソン種ではなく、(オーストラリア)パイソン種としての見解が過半数を占めており、その胴回りの太さや綺麗な班模様から至極のカーペットパイソンとも呼ばれるほどです。

斑紋のパターンはカーペットパイソンに酷似しますが、背面のクリーム色の明色部が極端に少ない上に、暗色の部分がクッキリと縁取られた鮮やかな褐色から赤系統に近くなります。また生息地に由来するのでしょうか?数多いカーペットパイソンより、やや太短いという印象を受けます。体長の割に細い体を持つカーペットパイソン種とはそういった点で一線を画しているようですね。

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セントラルパイソンの気性は荒い?成長速度やモルフについて

出典:STAR PYTHONS

セントラルパイソンの性格・気性はそこまで荒くはありません。

本来の性格はかなり温和とされ、飼育しやすい蛇に位置づけられています。

ただ元々が“野生種”であること、そして他のカーペットパイソン種と違い地表を主な生活拠点にする事から、死角(特に猛禽類などに襲われやすい頭上)からいきなり手を出すと防衛本能で噛み付かれかねません。そして捕食モードに入ると餌しか見えなくなり危険になるので、給餌の際に噛み付かれるケースが数多く報告されています。

それらの観点からもセントラルパイソン自身を取り扱う際は、慣れてくれるまで皮手袋などで噛み付き防止等の自己防衛をしましょう。幼蛇の頃からストレスにならない程度の“ハンドリングを行えなば、大人しい個体に成長します。

全長も約1.8~2.5mが最大値で、カーペットパイソンとほぼ同サイズです。そのため成長速度や性成熟に要する時間もほとんど変わらず、約2~3年ほどで成蛇にまで育ちます。

セントラルパイソンのモルフですがその数は中々少なく、主に「ハイポメラニスティック」「ストーンウォッシュ」種が良く知られています。

ハイポ=白変、メラニスティック=黒色化というのが基本です。セントラルパイソンのハイポメラニスティックは赤みが増すケースが多く、ベビーサイズでも十分な赤みを持ち、飼い込んで成長するにつれドンドンと赤く発色する様子が非常に見応えがあります。

ストーンウォッシュとは、元々ジーンズと砕石を一緒にもみ洗いしダメージジーンズを作り出す手法で、その名の通りこの名のモルフは、こすれた様な透明感が身体全体に広がる様な模様となります。

その他にもアルビノ種・模様が横走りするストライプ種…これらを上記2種とかけ合わせた様々なモルフが存在するので、足を棒にして探し出すのも良いかもしれません。同じモルフでも色の濃淡や模様の入り具合などを考えると一切同じ個体はいないので、お気に入りのセントラルパイソンを見つけ出すのも、このヘビの飼育の醍醐味です。

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セントラルパイソンの値段と飼育方法・飼育費用

出典:PET STATION

基本的に半樹上種が多いカーペットパイソンの中では例外的に、セントラルパイソンは地表を生活圏に選ぶことが多くなります。

写真の様に枝を入れ込むとそこに巻き付く事もありますが、原則的に横枝等は必要ありません。かえってケージ内清掃がやりにくくなり、自然物を入れることで飼育者への警戒心も強くなり性格も荒くなる傾向があるので「必ず必要」という訳ではありません。

出典:アニマルまめお この様に特に絡み付く枝等は用意しなくて構いません

気になるセントラルパイソンのお値段ですが、これはモルフによりかなり左右されます。初登場時はとんでもない価格が付けられていましたが、有志による積極的なCB個体の作出により頑張れば手の届く価格帯になっています。

本来のノーマル…すなわち原種よりの色味ですと成体で約70000~1000000円ほどで、時には100000台を超すこともあります。

その他、概算ですが「ベビー個体」は40000~60000円「ヤングアダルト個体」は50000~70000円「ストライプや赤みの強いモルフ」は70000~100000円以上は確実にかかります。

流通種とは言え輸出される個体はまだまだ少ないので、全般的に母数が少なく価格がインフレするのも致し方ない部分があるのでしょう。

飼育に関しては本来の穏やかな性格と頑丈な種類であることから、必要以上に神経質にならなくても構いません。

セントラルパイソンは野生下では木々に上らない『地表種』です。前述しましたが常にオーストラリア内陸部の乾燥地域に生息している訳ではなく、小川や池・沼などのほとりで暮らしていることがほとんどです。

出典:Amazon ニッソーの120cmガラスケージです

ケージは120cm以上の爬虫類専用ケースが、初めて飼育される方には最も適しています。衣装ケースや大型プラケース・熱帯魚用の120cm規格水槽でも問題ないのですが、問題は価格で約7~10万円ほどになります。

専用ケージ以外はかなりの改造や労力・注意点が盛りだくさんなので、今回は割愛させて頂きます。

『爬虫類専用ケージ』のメリットは爬虫類が嫌がる頭上からアクセスせず、飼育者の動きを生体が判別できる観音開きの扉を持ち、前面底面・頭上面が全てメッシュ状になり風通しが良くなる点です。各種バスキングライト用ソケットや爬虫類用サーモスタットのコード穴があらかじめ用意されているのも無駄な改造をせずに済むメリットです。

出典:Amazon 右側上部に通し穴が確認できます

 

次に飼育の要である“気温”ですが。そもそもセントラルパイソンが生息するオーストラリア内陸部は、世界的に見てもかなり過酷な環境です。そのため“自然のホットスポット”とまで称されるほどです。

そのため湿度はほとんど求めないので、毎日新鮮な水容器を据えるだけで構いません。高湿度の時のみ対策が必須となります。オーストラリア内陸部の気候は、日中は日差しがかなり強くなり夜は途端に冷え込みます.そのためバスキングを行うホットスポットは32~33℃ほどに設定し、日中は28~30℃ほど…そして夜間は25℃までに下げてあげましょう。

その他必要な飼育機器は『爬虫類用サーモスタット』『温湿度計』『水入れ』『各種パネルヒーター及びエアコン』『床材』です。

 

爬虫類用サーモスタットは日中・夜間に合わせその都度設定温度を変えて下さい。温度の上がり下がりがないと冷血動物である“セントラルパイソン”は夜間に強制的に活動時間の体温になってしまうので、ゆっくりとした休息ができなくなり、結果的に寿命を縮めてしまう事があります。もちろんホットスポットも完全に切りましょう。

暖め方は暖突やプレートヒーターで調節しても良いのですが、ヒヨコ電球などは絡み付き火傷を負ってしまう危険性があります。最終的に120cm以上のケージを必要とするので経済的に余裕がある方なら、数個のプレートヒーターを用いるのも構いませんが、結局はエアコンを断続的に稼働させた方がトータル的にお安くなります。

こちらは飼育者自身に合った飼育スタイルを選らぶようにしましょう。

出典:Amazon 

既にこの最大サイズのプレートヒーターが8000円ほどなので、なかなか複数個用意するのは難しい面があります。それは底面ヒーターも同様です。

温湿度計も必ず必要となります。他のカーペットパイソン種とは異なりかなり乾燥した状態を好むので、多湿状態に気を付けつつ気温を見る習慣づけをして下さい。

餌は例に漏れず幼蛇には4~5日にピンクマウスを一回、徐々に育つにつれ各種マウスのサイズアップをし、最終的にはドブネズミの白変種である「ラット」を一月に2~3回ほど与えてあげましょう。他の餌では冷凍ウズラ・ヒヨコなどが使えます。稀に自然界では小型爬虫類も食べるので、冷凍ヤモリを与えても良いかもしれません。

胴回りは太いのですが他のヘビと比べると、ほっそりした感覚を受けます。そのため餌が通常の大蛇と違い小さなものでないと消化管などで閉塞を起こすので、この点も給餌の際における注意点です。

余りに大きな餌を与えるのは避けて下さい。

『パネルヒーター』は安全のためにケージ底面の1/2~1/3…若しくは上部・壁面に設置し、それでも温度が安定しなければエアコンを使うようにしましょう・

https://twitter.com/REPKEN2/status/1387002038236581894

湿度については高すぎず、低すぎずといった所です。当の「セントラルパイソン」自身が湿度にとても無頓着なので、普通の屋内飼育では自然な湿度に任せる形で構いません。

『水入れ』は100円ショップのタッパーや、ホームセンターで手に入れた衣装ケースなどの安価なものに水を張ったもので構いません。これが湿度維持にも繋がります。ただ最低限セントラルパイソンが水容器の中でとぐろを巻けるほどの余裕は取るようにしましょう。

床材はパークチップ・ペットシーツ・新聞紙など多種様々なものが使えます。こちらもまた飼育者さんのお好みに合わせていいでしょう。

以上のことを踏襲すれば問題なく『セントラルパイソン』の飼育は難しいものではありません。

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セントラルパイソンの繫殖方法

Breeding Carpet Pythons 101- Pre Season

出典:EBMoreria


セントラルパイソンは生後2~3年間で完全に性成熟し、繁殖可能となります。外見からは繁殖可能か不可か全く見分けがつかないので1時間ほどペアリングをさせるしかありません。

まず現地オーストラリアでは11月・12月にかけて卵を産み落とします。ちなみにこの時期のオーストラリアは「春期」真っ只中です。国内で繁殖させる際もこれに習って3月・4月に産卵するように年末から2月程の冬期にかけて、任意の一ヶ月の期間『クーリング』を雌雄ともに行います。

クーリング自体は全く難しくなく、ケージ内気温を25℃に下げホットスポットも30℃前後に設定し…夜間は22~23℃ほどに徐々に下げて行き、完全に下がってから数えて一ヶ月後が『クーリング期間』となります。

クーリング後は1時間を目安にして「メスのケージ」へオスを投入します。

最初はオスメス共に攻撃的な姿勢を取りますが、この“お見合い”を何度か繰り返していくうちに、両者とも攻撃性が薄れ、早ければ数日ほどで交尾に至ります。

この際、十分性成熟していないと命がけのケンカに繋がるので、数日間~1週間ほど間をあけ再トライして下さい。
身重になるメスはこの時期にガンガン餌を与え出産に必要なエネルギーを蓄えてもらいますが、オスは完全に発情するとほぼ餌を口にしなくなります。餌食いの変化からかかろうじて雌雄の判別・がつきます。

交尾の確認後は速やかにオスを元のケージに戻して下さい。

その後メスは春真っ只中に10~30個ほどの卵を産み付けます。ちなみに産卵には8~24時間、交尾も12時間と相当長く続くことを念頭に置きましょう。

卵の孵化条件は単純で約30℃・湿度90%以上の条件下で50~70日ほどで孵化します。そのまま親に任せても良いのですが、人工孵化をするには衣装ケースなどを改造し風の通りを良くし、人工芝などを重ねその上に卵を置き付け、卵に触れないように水を足すと湿度維持がかなり楽になります。

孵化に要する期間は53~70日ほどで、順調にいけば30cm台の幼蛇が孵化する事でしょう。もちろん温湿度計を入れ、成体以上に神経質に管理しなければなりません。

ただかなり巨大になるヘビなので、一般家庭ではまず全ての仔ヘビは育てられません。予め引き取ってくれる友人や専門店に前もって話を付けておいて下さい。

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まとめ

カーペットパイソン種でも、その定義が未だ曖昧なセントラルカーペットパイソン・セントラルパイソンについて解説させて頂きました。

独立種と主張する説も多く、カーペットパイソンの仲間に入れるべきなのか?という疑問も未だにくすぶっています。

ただそれら難しい話を取っ払うと、巨大ヘビの中でもかなり飼育しやすく手間がかからないヘビでもあります。掴まる枝も不要ですし餌の選り好みもありません。唯一ネックとなるのはその高額な生体価格でしょう。

未だ他種と比べ著しく流通量が低いヘビです。EU諸国だけでなく他の外国…そして日本でも繁殖が盛んになれば、きっと飼い易くなり一般的に見かけるヘビになる事でしょう。

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