肺魚のプロトプテルスドロイの飼育!混泳や繁殖方法とは?

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肺魚は何から何まで魚の概念や常識を打ち破る生物です。
その名の通り空気呼吸に強く依存し、陸上でも長期に渡り生存可能な珍魚中の珍魚です。

今回は数ある肺魚の中で、最も華奢な体格を持つプロトプテルスドロイ(以下p.ドロイ)について取り上げます。

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目次

〈目次〉

肺魚プロトプテルスドロイとは?
プロトプテルスドロイの飼育
プロトプテルスドロイの混泳
プロトプテルスドロイの繁殖
まとめ

肺魚プロトプテルスドロイとは?

生息地はアフリカ大陸のコンゴ川流域およびその支流です。現地では貴重な食用魚としても扱われます。
動かない鳥で一時期SNSなどで有名になった鳥「ハシビロコウ」の主食でもあります。


肺魚は数百万年も前からその姿を一切変えず「生きた化石」と呼ばれます。
また乾季の干ばつの際は泥の中に潜り、自らの体液で繭を作ります。その繭の中で次の雨季までの数ヶ月間「夏眠」という状態で過ごします。
産まれたばかりの稚魚にはウーパールーパーの様な外鰓があります。p.ドロイを始め肺魚は魚類から両生類の進化の過程を繋ぐミッシングリンクではないのか?とも言われています。

Fish lands of man's face
19 External Gills ideas | species, animals, monster fishing
※写真上 出典 FEMALEFIRST 繭の断面
※写真下 出典 Pintrest 幼魚は外鰓(がいさい)を持つ


p.ドロイはその胴回りは他の肺魚に比べかなり細く、スラリとした外見です。
ただその体長は非常に大きくなります。成魚は非常に巨大化し80〜120cm前後まで成長します。

英語では「Lung Fish」=「肺の魚」と呼ばれます。その空気呼吸には浮き袋が進化した肺状の器官が使われます。
雨季などには自分に適した生息地を見つけるため、陸上を長期に渡り這いずり回る姿が目撃されています。

肺魚の主生息地はアフリカ大陸ですが、オーストラリアにのみもう一種類の“ネオケラ”という肺魚がいます。
その昔オセアニア諸島がアフリカ大陸から分化した生物学的証拠なんですね。

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プロトプテルスドロイの飼育

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※出典 ExoticFishShop.com


鉛筆大ほどの幼魚から、ある程度成長した若魚までのあらゆるステージが入荷します。
その最終的な体長から考えると90cm水槽では持て余します。120cm以上の水槽を考慮し飼育に臨みましょう。

飼育水は中性から若干のアルカリ性よりが良いとされています。適温の幅も広く30℃以上も耐えれるほどです。

そういった理由から、飼育自体は非常に容易です。何せ四肢のようなそのヒレが切れても再生するほどの生命力です。
餌もよく食べよく排泄します。その水量からろ過器はメーカー最大サイズのパワーフィルターか、オーバーフロー式が必須です。難しいようでしたら「排泄物を網ですくう」「頻繁な水替え」等でカバーしましょう。

自然界ではありとあらゆるものが捕食対象です。ミミズなどの環形類・カエル・ナマズの仲間・貝・水生昆虫・カニエビなどの甲殻類などを食べています。

飼育下では人工飼料にも容易に餌付きます。大型魚用のキャットフードやクリルなどを始め、餌用金魚・甲殻類等の生き餌・餌用カエル・スーパーの貝類なども喜んで食べます。
というのも胃の内容物の解剖所見では、そのほとんどが貝類や甲殻類など硬い外殻を持つものでした。肺魚の咬合力は熱帯魚随一なんです。

肺魚が餌のついでにスネールを捕食


その為飼育者も迂闊に肺魚に触れないで下さい。子供の指くらいなら軽く持っていけるほどです。くれぐれも気をつけて下さい。

そして本種飼育で気をつけるのは「飛び出し」です。
前述の通り飛び出して死亡…という例は少なくその点は心配ありませんが、先日のアミメニシキヘビの様に大騒動になり兼ねません。
飼育者の責任として、必ず脱走は避ける義務があります。

肺魚プロトプテルス ・ドロイ(アルビノ個体):東京タワー水族館 African lungfish

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プロトプテルスドロイの混泳

混泳は基本的に不可能です。
本種に限らず肺魚は基本的に他の動物を噛む習性があります。

普通の魚なら大事には至りませんが、肺魚はその咬合力の強さから噛み付いた相手に致命傷を負わしかねません。

稀に相手の魚の死を前提として混泳させているケースをWeb上で見ますが、個人的には賛同しかねます。
基本に乗っ取り単独飼育をさせてあげましょう。

これはp.ドロイには関係ないですが、例外的にネオケラことオーストラリア肺魚のみ他魚との混泳は可能です。

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プロトプテルスドロイの繁殖

長年肺魚の繁殖については分からないことだらけでした。
近年、野生下ではありますが徐々にその情報が流れ始めてます。

まず卵は沈下性です。p.ドロイは産卵域の底砂に穴を掘り巣を作ります。
そこに産卵・放精した受精卵を親が保護するそうです。

飼育下での繁殖は困難を極めます。おそらく夏眠も繁殖のスイッチになり得るので、現地の環境を忠実に再現しなければなりません。

要は熱帯雨林気候を飼育者が人工的に作り上げるのです。乾季・雨季があるので毎年必ず夏眠をさせます。
もちろん一年を通しての気温や湿度のデータは必要不可欠です。それを忠実に再現する必要があります。

ハイギョ、夏眠から目覚める – Lungfish wake from an aestvation

そして人工夏眠には大変な量の泥と大型のケースが必要になります。p.ドロイに取っても夏眠は命懸けです。
夏眠で命を落とす肺魚も少なくありません。

雌雄判別には解剖やレントゲン撮影が必要となります。
その為個人レベルではp.ドロイの成魚を複数匹用意する必要があります。
120cm以上の水槽が複数必要になり、かつ飼い主の生活様式もガラリと変えなければいけません。

現実的に個人ではどうしようもありません。水族館レベルでの報告例も耳にしないほどです。
人工繁殖とは全く程遠い魚なんです。

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まとめ

一度は飼ってみたい!でも…巨大水槽を始め、おいそれと手を出しにくく挫折するマニアが多い当種です。

飼育可能な方は大切に飼育してあげて下さい。飼い主に懐く!という、魚らしからぬ話もあります。
10年は悠に生きるので、大切なパートナーになりますよ。

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