ベトナムプレコは別命「セウェルリア・リネオラータ」「ベトナムバタフライプレコ」とも呼ばれ、その名の通りベトナム・メコン川の上流域に生息します。
意外にも現地では絶滅危惧種に指定されているベトナムプレコです。本記事を参考にしてぜひとも長期飼育、そして繁殖を狙ってみてください。
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<目次>
ベトナムプレコの寿命と大きさは? |
ベトナムプレコの飼育方法 |
ベトナムプレコを混泳させるおすすめのやり方は? |
ベトナムプレコの繁殖方法 |
まとめ |
目次
ベトナムプレコの寿命と大きさは?
出典:Loaches Online タバコの箱との大きさの比較
ベトナムプレコの寿命は最長6年、最短で3年と個体によりかなりバラツキがあります。
元々学名の「セウェルリア・リネオラータ」で販売されることが多く、近年入荷し始めたバタフライプレコです。飼育難易度はかなり高めとなります。
その飼育方法は他のバタフライプレコに準ずるのですが、比較的安価なため事前知識なしの安易な購入・飼育がおそらく短い寿命・飼育困難と呼ばれる原因でしょう。
現地で絶滅危惧種に指定されてると言いましたが、その飼育は他のバタフライプレコとほぼ同様です。
大きは最大で約7cm程になりますが、販売されている個体はやや小ぶりのものが多く、長期飼育の難しさが伺えます。
本種は条件さえ整えれば、この種の仲間内ではかなり飼育が容易であり、その点でもかなり飼い応えのある熱帯魚と言えるでしょう。
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ベトナムプレコの飼育方法
出典:Loaches Online 野生下・メコン川上流のベトナムプレコ群
肝心のベトナムプレコの飼育方法ですが、まず第一の問題が与える餌でしょう。
多種のバタフライプレコと同様、ベトナムプレコも人工飼料に餌付かせるのはかなりの時間と労力を要します。そしてほとんどの個体が草食性であり、プレコフード等にはまず餌付かないと考えて下さい。
水槽に当てる光量を強めにし、苔や藻類を自然発生する手段もありますが食事のスピードの方が勝り、たちまち餌不足になるでしょう。
そのため屋外やベランダに水を張ったバケツやタライ等を置き、その中に流木や吸い付きやすい丸い岩などを入れ込みます。太陽光に十分当てれば餌となる藻類などが自然に付着するので、このサイクルを繰り返すしか安定した給餌方法はないでしょう。
稀に冷凍赤虫などの動物性タンパク質で育てようとするケースを耳にしますが、この方法ではまず長期飼育は不可能です。ベトナムプレコを安定飼育するためには必ず『草食』主体の餌で育てなければいけません。
出典:はてなブログ この程度のコケが常時必要となります
次に水温ですが、そもそもの生息環境がメコン川上流ですので高温は確実に避けて下さい。24℃前後を保ち続け、真夏などには水温を下げる必要があります。
『冷却ファン』や『エアレーション』などを用いる方法もありますが、地域ごとに異なるので30℃付近までどうしても上昇してしまう場合は『水槽用クーラー』などを用いる必要性も生じます。
また上流ということは渓流域でもあるので必要な“溶存酸素量”も多くなります。流れについてはそれほど気にしなくても良いのですが、可能な限り水勢をつけた方がより良いでしょう。
また上記動画の様に縄張り意識が非常に強い魚です。そのため複数飼育する際はお互いに干渉しないように、入り組んだレイアウトを心がけましょう。もしくは大き目の水槽で飼育することです。
ヒーターは吸い付くという特性上、火傷をする可能性があるので市販の「ヒーターカバー」で保護した方が安全です。
その扁平な体型を活かし水槽壁などに張り付き、脱走しそのまま死亡する「脱走名人」なので、フタは忘れずに被せるようにして下さい。
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ベトナムプレコを混泳させるおすすめのやり方は?
ベトナムプレコは非常にテリトリー意識が強い魚なので、複数匹を混泳させる場合は必ず複雑なレイアウトを組んで下さい。
弱い個体のための隠れ家として、それらのレイアウトに使用する流木や岩などが隠れ家として有効となります。
また、かなり荒療治ですが他魚も含め水槽容量のキャパシティーいっぱいに熱帯魚を入れ、攻撃目標を見失わせる・拡散させるという手もあります。
ただ基本は野生の生息環境に合わせたレイアウトを用意した方がいいでしょう。
海水魚のエイの様な体型をしているので、それほど大げさなレイアウトを組まなくても構いません。害のない人工物でも良いですし、ご自身で採取した河川等の石でも念入りに洗浄すれば使用可能です。
平たい石をくみ上げたレイアウトも、その隙間に喜んで潜り込みます。
それほど相手が衰弱する喧嘩はしませんが、一時避難場として産卵ケースや隔離ケースを用意しておくとより安全ですね。
ベトナムプレコのおすすめ混泳方法は、ごく少数を飼育するか?複雑なレイアウトを組むことです。初めて飼育される方は、なるべく少数飼育から始めた方が良いでしょう。
飼い込むと彼らのテリトリーや縄張り意識がよく理解できます。それから複数飼育に切り替えてみてください。
あまりにサイズ差がある個体の同居も可能な限り避けて下さい。
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ベトナムプレコの繁殖方法
当たり前の話ですが、ベトナムプレコの繁殖はまず個体の雌雄識別から始めましょう。
とはいえ外見上からは非常にオス・メスの判別が困難な魚なので、自信のない方は『複数飼育』のお見合い形式を取るのが確実です。
オス・メスの判別方法は…
① 上から見た時メス個体は比較的幅の広い体を持ち、鼻部が胸ビレと繋がる様に連続しています。オスはメスと比較し小柄になり、鼻部の形状が正方形に近く胸ビレがほぼ直角に体から出ています。
② 性成熟したオスは「フェンス」と呼ばれる5〜6番目の胸ビレ模様前部に隆起したいぼ状の突起列を発達させることがあり 、さらに頭部背面もやや隆起します 。
となりますが、これがなかなかに難しいのです。
概ね生後2年ほど経つと確実に繁殖可能になるので、体長や上記の判別法も合わせ判断してみてください。
バタフライプレコの仲間ではその繁殖は容易な部類です。ただ熱帯魚全体から見るとやはり“繁殖困難種”なので、相当の準備と覚悟をしてペアリング・産卵・稚魚育成に取り組みましょう。
ペアリングが上手く行くとオスがメスを追まわし、お互いに絡まり合い産卵に至ります。
出典:SERIOUSLY FISH この様に絡まり合います
意外にも飼育自体は難しいベトナムプレコですが、繁殖に関しては極めて“ふつう”です。
産卵に持ち込むまでのコツは、とにかく個体をじっくりと飼い込むことです。水槽内の環境に慣れ、餌なども安定し給餌でき、とにかく頑丈な成体に育てあげましょう。
産卵は「バラマキ型」であり一回の産卵数は20~30個ほどです。オス・メス共に一切面倒は見ません。直径3mmほどの小さな卵なので流木の隙間・岩陰・底砂内に入り込み、食害を避けるという性質を持つので“スポイト”を使い1粒1粒丁寧に集めて下さい。
とにかく卵…そして孵化した稚魚が小さすぎるので、産卵ケースなどではスリットからこぼれ落ちてしまいます。別途“育成用水槽”を用意した方がいいですね。
※卵と稚魚が孵化する瞬間です
孵化後の稚魚も約3~4mmほどとかなり小さく、成体と同じく与える餌にかなり苦労します。
インフゾリア(ゾウリムシ)を食べるとの情報もありますが、イマイチ確証がありません。
基本的には充分な光量があれば、小さな稚魚が成長できるほどのコケや藻は確実に発生するので、餌に関しては成体のベトナムプレコと同じで構わないでしょう。
またフィルターにも吸い込まれやすいので、基本的には吸水口がスポンジ状のフィルターに切り替えて下さい。かなり小型で成長も遅いので、スポンジフィルターだけでも構いません。
ベトナムプレコは産卵まで持ち込むこと自体、やや難しい部類に入るのですが…その後の稚魚育成の方が遥かに時間と手間がかかる魚です。
繁殖を狙うのも良いですが、この事を念頭に置き慎重に行うようにしましょう。
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まとめ
今回は“セウェルリア・リネオラータ”ことベトナムプレコについて取り上げました。確かに飼育難易度が非常に高く、初心者がホイホイと手を出しにくい種類なのは事実です。
ですが、コツさえつかみ、きちんとした環境を提供してあげれば『累代飼育』や…もしかしたら人工的な柄・体色の作出に成功するかもしれません。
値段もかなり安価です。ショップに足を運んだ際にでもじっくりとご覧になってみてください。