今回の主役はブラックモーリーと言う魚です。ブラックモーリーはヤマトヌマエビ・オトシンクルス・石巻貝などどセットで飼育入門書に必ず記載されている「メンテナンス種」…いわゆる「コケ取り魚」です。
ただ便利屋さんの意味合いが強く、ブラックモーリーそのものの飼育は「非常に容易」などの一文で済まされがちです。
そんな脇役であるブラックモーリー。この魚を飼育する上で気をつける事をまとめてみました。
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<目次>
コケ取り優良魚「ブラックモーリー」 |
ブラックモーリーが増えすぎる水温は? |
ブラックモーリーに多く見られる「白点病」 |
ブラックモーリーの病気と死因の代表例 |
まとめ |
目次
コケ取り優良魚「ブラックモーリー」
ブラックモーリーは草食傾向が非常に強い魚です。頑固な藍藻・細長いアオミドロ・そして水面上の油膜まで食べてくれるんです!
膨大な種類がいる熱帯魚ですがコケ類、しかも油膜まで処理してくれる魚は滅多にいません。
藍藻やアオミドロを突っつき齧り付く様に食べる姿は見ていて飽きませんよ。
また油膜は浮遊性バクテリア・藻類由来と大まかに2種類に分けられますが、そのどちらも食べてくれます。
ただ水草の新芽や、有茎水草の葉・ウィローモスなども餌にしてしまうので、水草水槽に入れる際には、十分様子を見て下さい。
この様にコケ取りメンテナンスフィッシュとして、実に有用な種類なんです。
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ブラックモーリーが増えすぎる水温は?
まず繁殖形態ですがグッピー等と同じ「卵胎生メダカ」で孵化した稚魚を出産します。このため”増えすぎ”に関する悩みをよく聞きます。
ブラックモーリーの発情スイッチは温度に限って言うと「水温25℃」が境目です。適応水温は幅広く22〜30℃程ですが、25℃を超えると爆発的にメスは稚魚を産み始めます。
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ブラックモーリーに多く見られる「白点病」
ブラックモーリーに多く見られる病気が、表皮に無数の白点が浮かぶ「白点病」です。
白点病はウィルス・細菌由来の病気ではありません。「寄生虫」による疾病です。『ウオノカイセンチュウ』と言う繊毛虫が表皮に寄生する事で起こります。
この病気は水際対策が一番有効です。新規導入魚により別水槽から持ち込まれてしまうケースが大半です。
ショップで新しい魚を買った際は最低3日は別水槽に隔離しましょう。またショップの水槽内もくまなく観察します。目視が簡単な病気ですのでキャリア魚は判別がすぐにつきます。この際隔離水槽の水温は28℃以上にします。この繊毛虫は高水温で不活性するからなんですね。
一般的には塩浴から薬浴と段階が上がりますが、まずは生体にダメージが少ない方法から駆逐していくのが原則です。これは汽水域にも進出できるブラックモーリーも同様です。
いきなり塩浴・薬浴を行うと繊毛虫は苦しみ、皮膚のより深部に逃げ込みます。まずは水温を上げて繊毛虫を弱らせる。そして次のステップに必ず移る様にします。塩浴は原則0.5%以上だと淡水魚はダメージを受けてしまいます。ただ汽水域にも対応できるブラックモーリーは0.5%以上の濃度にも十分適応できます。ただ寄生され弱っている状態ですので、緩やかに濃度を上げる事・ブラックモーリーの状態を逐一観察する事を決して怠らないでください。
薬は本当に最終手段です。もし使用する場合は各社の説明書に準じます。勝手な自己判断投与は、下手をすればブラックモーリーの完全全滅に繋がります。
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ブラックモーリーの病気と死因の代表例
転覆病
その名の通りお腹にガスが溜まり水面付近でひっくり返った状態になります。原因は餌の与えすぎか消化器官の閉塞です。腹八部目と言いますが、予防として余りに頻繁な給餌は避けて下さい。そのまま動きが取れず衰弱したり、ガス圧による内臓疾患で死に至ります。
水カビ病
本来死亡した魚に発生しますが、稀に生きている魚にも白くもやもやした水カビが生える事があります。カビに栄養分を取られ組織が炎症や壊死を起こし、やがて命をも奪ってしまいます。
マツカサ病
エロモナス菌由来の疾病です。ポップアイ(眼球の飛び出し)・鱗が根元から逆立つ様からこの名がつきました。
かなり厄介な病気です。発見時には手遅れなケースがほとんどです。水質悪化によるエロモナス菌の異常増殖が原因なので、水換えを常に怠らない予防が一番です。
ソイルによる死亡
病気ではありませんが、水質によるブラックモーリー死亡例では最も多い事例となります。汽水域にも生息するモーリー類は酸性の水質には適しません。水草水槽などの弱酸性なら適応できますが、ソイルは別です。
シュリンプタンクに用いられるソイルはpH値を大幅に上げます。ソイル自体元々その環境を前提に用いる底砂です。
大磯砂などの砂利類を必ず敷いて下さい。
穴あき病
「エロモナス・サルモニシダ」と言うウイルス由来の病気です。体表の充血→鱗落ち・逆立ち→体表に穴が開く…といった大病ですが、ブラックモーリーの体色は黒色であり、他魚と違い初期の充血を見落としがちです。
最終的には病変部位は不自然に抉られた形になります。
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まとめ
長年水槽の脇役ポジションだった「ブラックモーリー」飼育の問題点にスポットを当ててみました。
本来メラトニンを固定した魚はアルビノに比べ少数です。「掃除屋」の売り文句を間に受けず、タンクの大切な一員として育て上げて下さい。