ダイヤモンドカーペットパイソンはオーストラリアに広く生息するカーペットパイソンの基亜種です。
多種と異なるのはその体色であり、黒字に無数の白から黄色がかるスポットを持ち、全カーペットパイソン原種個体の中でも、最も美しい種類とされています。 そのスポット模様が4つ集まるといわゆる“ひし形”に見えることから『ダイヤモンド』の名がつきました。
今回はそんなあらゆる飼育者を魅了してきた、ダイヤモンドカーペットパイソンについてお話ししていきます
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目次
ダイヤモンドカーペットパイソンとは
ダイヤモンドカーペットパイソンは他の亜種と簡単に交雑してしまうため、純血種が少なく入荷されるたびにこの問題が取り沙汰されます。
他亜種との判別方法は、その頭部が太く短くなる傾向がありますが、遺伝子汚染による交雑種が大量に存在する今、その見分け方もやや心許ないものとなっています。 反対に交雑個体は頭部の細長さ・斑紋がライン状になることから見極められますが、一見ではなかなか容易に判別できるものではありません。
オーストラリア政府の意向でWC個体の輸出は極めて稀な上に、他のカーペットパイソンと比較し「繁殖」が極めて難しい点が挙げられます。
分布域はオーストラリアのニューサウスウェルズ州・ビクトリア州東部に集中しており、主に国土の西海岸性の温帯地域に生息しているそうです。
ワシントン条約第II類に指定されている極めてレアなカーペットパイソンであり、ごく少数ですが入荷することもありますが、他亜種と比較するとダントツの飼育難易種です。
幼体の頃はかなり地味な体色ですが、成長するにつれ鮮やかな体色・斑紋が表出し、長期飼育が醍醐味となるカーペットパイソンとなります。 流通・入荷が非常に限られており、値段はもちろん高額になるのですが、そもそも販売されているショップを探し出すのに労力を使うレア中のレア種となるのです。
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ダイヤモンドカーペットパイソンの飼育方法
ダイヤモンドカーペットパイソンの飼育には、その個体の大きさに合わせプラケース・小型アクリルケース・水槽・爬虫専用ケースなど様々なものが使用できます。ただ最大2m前後にまで育ち運動量も極めて多いヘビなので、高さは常識の範囲内で構いませんが横幅は最低限120~150cm、奥行きは45~60cm程度が必須です。
他のカーペットパイソンと比べ好適気温は若干ですが低めを好み、ホットスポットが32℃、ケージ全体は26~27℃程度を保ちます。夜間気温は24℃を下回らない等にしましょう。
もちろん水分補給・代謝促進のための水入れは必須です。ダイヤモンドカーペットパイソンがとぐろを巻いた状態で少し余る程度の水容器を用意して下さい。
基本的に照明はホットスポットのみで構いませんが、見栄えや観賞を求めたい方は別途LEDライトなどを用意すると良いでしょう。
幼蛇の頃はやや多湿を好むので、キッチリ絞った水苔等を床材に用いましょう。成長するにつれ湿度は不必要になるので床材は何でも構いません。更に幼蛇時は高温多湿を好むので幼い内はデリケートに育てて下さい。
安定したのぼり木等をケージ内に設置するのがベストですが、こちらは気性の荒さを促進してしまうので入れても入れなくても構わないでしょう。
注意点として水入れの水は常に新鮮なものに取り換え、幼い頃は若干高温多湿で育てるのがコツです。大きな餌は飲み込みにくく吐き出してしまうので、通常のヘビとは異なりワンランクダウンした大きさの餌を与えて下さい。
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ダイヤモンドカーペットパイソンの生体価格と飼育費用について
ダイヤモンドカーペットパイソンの値段はレア種なのでかなり高額になり、13~17万円ほどとなります。
カーペットパイソン飼育の熟練者・ヘビ飼育のベテラン以外、高額種…さらに飼育が難しい種類とありおいそれと手が出せないでしょう。少なくとも初心者は手が出せない種類です。
飼育費用ですがその運動量を鑑みると最終的に150cmほどのケージが着地点でしょう。それに付随する飼育機器もケージの大きさに金額が比例するので、かなり高額になります。
要となる気温ですが幼蛇の頃はともかくアダルト個体になると、そのケージの大きさからプレートヒーターなどの小手先の道具は有効ではありません。そのためエアコンで温度を保つのが一番最適な方法です。
床材は飼育者の好みで決まるので何とも言えませんが、水入れ等は100円ショップの簡易衣装ケースも使えるので、かなりリーズナブルです。乾燥を好むダイヤモンドカーペットパイソンですが、湿度…そして温度も測れるように温湿度計は必需品です。
基本的には50%ほどの湿度を好むのでこちらを目安にして下さい。
食後や早朝の代謝を促進するため、あらゆるシーンでホットスポットを作り出す必要があります。そのためかなり大きめなバスキングライトを用意し、全身を暖められるようにします。
これら初期投資と生体価格を合わせると、約20~25万円ほどはかかります。
その他飼育継続費用ですが幼蛇はともかく成体は1ヶ月に2~3回ほど冷凍ラットを与える程度で構わなく、電気代等も冬場のエアコンは2000~3000円ほどしか変わらないでしょう(もちろん契約電力会社により左右されます)糞尿をしたシーツを取り換えるのも、それほど頻繁ではありません。
こと、ヘビ飼育に関しては継続費用がさほど掛からないので、初期投資+生体価格の20数万円がダイヤモンドカーペットパイソンにかかる費用として問題ないでしょう。
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ダイヤモンドカーペットパイソンの繁殖方法
例によりオーストラリアの過酷な地帯に住んでいるダイヤモンドカーペットパイソンですが、多種同様に性成熟に2~3年を有します。
ペアリング→繁殖→産卵→孵化→孵化の流れは、他のカーペットパイソンと全く変わりません。
日本の気候に合わせ冬場に全ての温度を2~3℃下げ、クーリングを行います。ちょうど春頃にクーリングが終了しペアリングができるようになるのがベストです。
メスのケージ内にオスを入れ、1時間ほど交尾の有無を確かめましょう。
交尾に至らなければ1時間を目処にし再チャレンジしましょう。
何回繰り返しても交尾しない場合は単に性成熟に至らない個体か?それともクーリング不足が考えられます。
残念ですがその場合はもう一年ほどじっくり待ってください。
上手く交尾に至ったらすぐにオスを別ケージに隔離しメスの出産を待ちましょう。メスは10~30個ほどの卵を産むので、そのままお任せするか…飼育者が人工孵化にチャレンジする2つの方法があります。
人工孵化の場合は気温約30℃、湿度90%以上の環境を持続し続けて下さい。50~70日後くらいには30cm大の仔ヘビが殻を破り産まれてきます。
仔ヘビの初期餌は冷凍ピンクマウスで十分間に合います。
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まとめ
今回はカーペットパイソンの中でも最も美しく目にする機会の少ない「ダイヤモンドカーペットパイソン」について説明しました。
金銭面でのハードルも高く、その上飼育難関種という2つの困難な点を併せ持つダイヤモンドカーペットパイソン。おいそれと手が出せるヘビではありませんが、将来的に手元に来る機会があったら本記事などを参考にし、大切に育て上げて下さい。