インランドカーペットパイソンはオーストラリアにのみ生息している、極めて稀少なカーペットパイソンです。ニシキヘビ科モレリア属に分類され、他のカーペットパイソンとは異なり、最大全長はやや小柄になります。
野生動物の輸出に厳しいオーストラリアらしく、その輸出は現状規制されており、かなりの希少・レア種です。
そのためモルフなどのCB個体(繁殖個体)を手に入れる必要があります。そのため個体の入手・成体の値段が他のカーペットパイソンと比較すると段違いの高額種なので、しっかりとした「飼育知識」そして「設備投資」などを本記事や書籍を通じて身に付けて下さい。
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<目次>
インランドカーペットパイソンとは |
インランドカーペットパイソンの最大値とその飼育方法 |
インランドカーペットパイソンの値段と飼育費用 |
インランドカーペットパイソンの繫殖方法 |
まとめ |
目次
インランドカーペットパイソンとは
インランドカーペットパイソンの野生種は前述の様に、オーストラリア南東部、マレー・ダーリング盆地を中心に分布しているカーペットパイソンです。
マレー・ダーリング盆地は内陸部に位置し1061469km2の広大な面積を誇ります。そのため基本的に高温乾燥地帯であり、極端に降水量が乏しい過酷な地域です。ただし盆地内部には“マレー川”・“ダーリング川”という2大巨大河川があり、それなりの湿度が保たれているという特殊な環境になります。
更に乾季・雨季があり、最低気温10℃は最高気温40℃という極端な温度差も特徴的でしょう。
インランドカーペットパイソンはその様な地域に生息するため、基本的にはかなりの高温…そして多湿状況を好みます。
くっきりとした白黒模様が美しいカーペットパイソンであり、自然下では小型哺乳類・鳥類・他の爬虫類などを積極的に捕食します。
生息域では河川のそばで見つかる事が多いのですが、平地生活の傾向が強い「半陸上性タイプ」と言われ、砂地の岩場や砂場・森林地帯底部など生息地はかなり多岐に及びます。
基本的には夜行性ですが昼行性を行うケースもあり、オーストラリアでは人家の大型ネズミなどを捕食する益獣ですが、過去には人家の小型犬・小型猫などを食害するという事件も報告されています。
一回り小さなカーペットパイソンですが、概ね20~30年・最低でも10年超の寿命を持つ『中型ヘビ』と捉えましょう。
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インランドカーペットパイソンの最大全長とその飼育方法
インランドカーペットパイソンはヘビ類のなかでは“中型種”に位置し、その最大全長は飼育下では約2m前後ほどです。
2mというと「巨大ヘビなのでは?」と考えがちですが、爬虫類の中でもヘビ類はかなりの柔軟さを兼ね備えており、更に『とぐろ』を巻いている状態が多いので、実際飼育するとそこまでの大きさは全く感じません。
肝心の飼育方法ですが、まず要となるケージは爬虫類・特にヘビ用に特化したものを選びます。
メーター越えのヘビは大きさに関しては実測値より小柄に見えますが、獲物を捕食する際に絡み付き息の根を止めるため、ほぼ“全身筋肉の塊”です。
温和な種類のインランドカーペットパイソンですが、それでも「熱帯魚用の水槽」「フタ」などはものともせず破壊します。近年、中・大型ヘビの脱走がマスコミを騒がしているので、決して逃がさないような頑丈なケージ、そしてフタは必須事項です。
出典:Amazon 120×60×60のケージです。最終的にこの程度のサイズは必須です
ケージの高さは低めでも構いませんが、横幅はインランドカーペットパイソンの成長に応じ60~150cmほど、そして奥行きは最低でも60cmほどのものを選びます。カーペットパイソン飼育にはこの「奥行き」が重要となります。
フタには脱走防止用に「重し」や「鍵」があった方が安全です。かなり高価かつ希少種なので、この観点から見ても脱出防止を徹底した方が良いですね。
餌は冷凍マウス各サイズ・成体には冷凍ラットを与えましょう。偏食が心配ならば冷凍ウズラ・冷凍ヒヨコなどの鳥類・餌用ヤモリなどをローテして構いません。
食後の消化吸収のため、そして時折体温を上げなければいけないので、他の場所より数℃高い33~35℃程度のホットスポットを用意して下さい。餌の消化以外でもインランドカーペットパイソンが適宜体温を上げるため、ホットスポットなしでは飼育できません。
因みに「半樹上性」と言いましたが、無理をして木の枝等を入れる必要もないでしょう。海外ではレイアウトなしの平面飼育が基本ですが、その理由は『管理しやすい』ただそれだけです。
どちらの飼育方法も一長一短で、巻き付けるものをケージ内に入れると狂暴化するという話もあります。それも当然の話で、ケージの清掃・メンテナンスで移動させるたびに、巻き付いて安心しているヘビを無理やり引き剥がすことになりますからね。
レイアウトに凝るか?シンプルな飼育に凝るか?は飼育者の好みに合わせて下さい。
そして肝心の温度ですが、年間通し30℃以上を保ち続ける必要があります。湿度も高めの60~70%を維持して下さい。冬季など寒い時期の効率とヘビ自体の安全性を考えると、部屋全体を暖める「エアコン」をフル稼働しましょう。小手先の暖房器具は、このサイズのヘビ飼育の温度維持には全く向いていません。
また外敵温度に依存する変温動物なので、夜間は必ず日中より数℃…25~27℃ほどに切り替えるのを忘れないで下さい。
湿度の維持には人間用の「加湿器」が一番適しています。もちろん適切な数値を見極めるため「気温計」「湿度計」はケージ内に必ず据え付けます。
また、身体全体が入る(※とぐろを巻いた状態を参考に)水場は忘れずに置いてあげましょう。
本種はそうそう水場に入る事はありませんが、それでも水容器はヘビ飼育の基本です。水分不足や脱皮不全に陥るので、水場は必ず設けて下さいね。水温も忘れずに30℃を維持して下さい。
ケージ内の平均気温は30℃ほどで構いませんが、インランドカーペットパイソンは変温動物なので、食後などの消化時に自分で消化体温を上げることができません。
そのため全身を温められるような35℃ほどの『ホットスポット』を必ず設置してあげましょう。
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インランドカーペットパイソンの値段と飼育費用
出典:room zoo ヤングアダルト個体(※23万で販売されていました)
インランドカーペットパイソンは俗に言う「カーペットパイソン」「カーペットニシキヘビ」の中で最も高額種です。
個体の大小にもよりますが最低でも10万円、系統だったモルフでは最高30万円ほどとなります。
そのため、飼育に必須な飼育機器等を出し惜しみし、最悪死亡などに至るとかなり後悔します。
ケージ類・多岐に渡る餌・エアコン代など、先を見据えた必要経費を良く考えて購入を心掛けて下さい。
飼育費用は10~15万ほどかかります。もちろんベテラン・初心者の飼育スキルの差や、お住まいの地域により適切な餌を直販しているショップがない…という要因にも金銭面は大きく左右されてしまいます。
出典:Amazon 100×40×50ですが、ヤング個体時は飼育可能です。
将来的には最低でも120×60×60ほどの飼育ケージが必要になり、頑丈さが求められるので中型ヘビ飼育に慣れていない方は、極力ケチらないように専用ケージの購入をお勧めします。150cm規格準拠などの専用ケージもあるので、できればこれ以上のサイズを用意した方が好ましいでしょう。
慣れた飼育者は自作ケージを作ったり衣装ケースで飼育する方もいますが、やはり初めて飼う方にはおすすめできません。
飼育ケージは仮に150cm準拠で丈夫さを兼ね備えるとなると10数万円あたりです。その他ホットスポットや温度計・湿度計、諸々の小道具を揃え+αの金銭は覚悟しておいた方が良いです。
各種の餌は冷凍で全く構わないのですが、近場にない取扱いショップがない場合「冷やしながら」配達してもらうことになるので、継続費用もそれなりに良いお値段になるでしょう。
とにかく生態が高価ですと、それに比例し初期投資・継続費用は跳ね上がります。また近年中~大型ヘビ脱走への世間の風当たりも強いので、賃貸物件や集合住宅で飼育する際は“絶対に”逃がさないようにして下さい。
基本的に初期費用はインランドカーペットパイソン(10~30万)+ケージ類等(10万円弱)の20~40万円以上は確実にかかる事を念頭に置きましょう。
給餌は成体で一週間~一ヶ月数回ほど、幼体は3日に一回ほど与えますが、餌の値段自体は1000円以下で済むでしょう。
水浴び場やシェルター・ホットスポットや月々の電気代等は1~2万円ほどかかります。
よってインランドカーペットパイソンの飼育費用は最低でも『20万円弱』そして最高額は『60万円ほど』…また病気や怪我をした際に連れて行く“獣医費用”なども加味しておいてください。
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インランドカーペットパイソンの繫殖方法
インランドカーペットパイソンは産まれて2~3年後に性成熟します。このタイミングを見計らい繁殖に持ち込みましょう。
冬期に差し掛かった時点で昼と夜の寒暖差を徐々に大きくし、特に夜間は24~25℃程度を保ちクーリングを行いましょう。上手く行くとオスメス共に発情に持ち込めます。
産卵する母体のメスは体重アップのため、普段より与える餌の頻度を増やしてください。反対にオス個体は発情すると餌食いが悪くなる傾向があります。
クーリング開始後1~2カ月経過すれば繁殖に適した個体は、まず性成熟します。基本は他のカーペットパイソン同様、メスのケージにオスをいれて交尾をさせましょう。
上手く行けば数日で交尾に至ります。うまく交尾しないなら、一度オスを取り出し一週間後に再チャレンジしてみてください。交尾はかなり長く、時には12時間以上も続きます。交尾を確認し終了したら、オス個体は即座に元のケージに戻しましょう。
出典:DoenToEarth 人工孵化の様子
上手く受精すればメスは春ごろに20~30個ほどの卵を産卵します。産卵にも時間がかかり、最低8時間・最高24時間程度はかかります。
そのまま親蛇に任せても良いのですが、基本照的に人工孵化を行いましょう。『高温多湿』(湿度が90%以上、温度32~33℃前後)で約50~70日程度を保ち続けると、20~30cm程度の幼蛇が孵化してくれます。
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まとめ
今回はカーペットパイソンの仲間でも、もっともレア種である『インランドカーペットパイソン』についてピックアップしてみました。
通常のペット爬虫類とは桁が一つ違う高級種こと『インランドカーペットパイソン』手に入れるのも正直かなり困難なヘビです。
運良く出会って迎え入れる機会がある方は、金銭面に糸目を付けず大切に飼育なさってください。