スナネズミは別名ジャービル(サンドジャービル)とも呼ばれ、英語で「Gerbil」と表記します。
これはアレチネズミ亜科(Gerbillinae)から派生した言葉で、これらのネズミは主にアフリカ大陸やアジアの砂漠地帯などの「荒れ地」に広く生息しています。
そんな環境で生きるスナネズミことジャービル、特徴や生態・名の由来…そして人とどう関わってきたのでしょうか?
順を追って説明していこうと思います。
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<目次>
スナネズミの名前の由来とは? |
スナネズミの特徴とは!? |
スナネズミの生態とは? |
スナネズミの人との関わりの歴史 |
まとめ |
目次
スナネズミの名前の由来とは?
細かく分類すると“ネズミ目ネズミ亜目アレチネズミ亜科スナネズミ属”に位置し、正式名称も「スナネズミ」と呼ばれています。
彼らは自然界では生物ピラミッドの下位動物であり、猛禽類や中・大型哺乳類、ヘビなどの爬虫類、時には大型の両生類や昆虫類にさえ捕食されてしまう程です。
そのため天敵の少ない砂地に生息するように進化し、やがて飼育下でも砂を与えると、とても喜ぶほどの進化を遂げました。
この原種の生息地や砂を望む性格から『スナネズミ』と名付けられた訳です。
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スナネズミの特徴とは!?
スナネズミは平均的な体長が13〜15cmほどになり、ゴールデンハムスターと同等、もしくは一回りほど小さくなります。
特徴的なのはその体調より長い尻尾で、その長さは体長と同じくらいか、やや長くなります。
尻尾のほとんどが毛に覆われていません。
尾は「栄養を蓄える」「体を支える」という役割も担います。
栄養貯蔵は尾の細さから分かる様に、微々たる物なので、あくまで緊急時にのみ使用され、普段は積極的に草木やその実・昆虫類などを捕食し続けます。
警戒時や環境変化、そしてスナネズミが好奇心を持つものに対して、尻尾を支えにし二本足立ちする事もあります。
スナネズミは齧歯類の仲間であり、歯が永久的に伸び続けるので、固い餌を食べたり木材や木々を齧り摩耗させ、伸長を止めています。
そのまま放って置くと歯が伸び過ぎ、餌や水分が取れなくなってしまうので、本能的に物を齧る習性を持ちます。
飼育下では適宜、齧りやすく安全な木材等を用意してあげましょう。
一度脱走し見つけるまでに時間がかかると、部屋中の家具が齧り尽くされる事もあるので、気をつけて下さい。
小柄な割には発達した後ろ足を持ちます。
興奮した時や警戒時には、ウサギの様に「地団駄」を踏み威嚇する事もあります。
ジャンプ力も非常に高く、ちょこまかと機敏に動くという、いかにもネズミらしい特徴を兼ね備えます。
その跳躍力を侮ると、脱走や事故に繋がるので、十分配慮してあげましょう。
ペットとしての品種もバラエティに富みます。
ただ形態や生態上の品種改良は行われておらず、スナネズミの品種と言えば、ほぼその“毛色”に依存する形となります。
茶褐色の基本種を始め、ベージュや黒・マダラ模様のパイド重・ハツカネズミのような白変種など、その数は様々です。
多産なことでも有名であり、飼育下でオスメスを一緒にすると、一年中繁殖を行います。
メスは一度に5〜7匹ほどの子供を産み、基本的に夫婦で子育てをしますが、子育て中もオスの発情は止まりません。
そのためメスのお腹が出っ張り、妊娠の傾向が見られたら、オスは別ケージに隔離する必要があります。
産まれた赤ちゃんも、たった生後2〜3ヶ月で性成熟をし、新たに繁殖が可能となります。
この様にスナネズミのライフサイクルはかなり早く、その寿命は野生下で2〜3年、飼育下で大切に育てても4〜5年程です。
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スナネズミの生態とは?
元々天敵が少ない砂漠地帯に住んでいるので、他のネズミ類に比べ警戒心が薄く、好奇心旺盛な動物です。
捕食者が少ないため、夜間に活動を行わない「昼行性」を持ちます。
自然界では「コロニー」と呼ばれる数頭から成る群れを作り、木株の根元や岩の隙間・時には自ら巣穴を掘り、集団生活を営みます。
コロニーは主に家族主体であり、オスメスの夫婦とその子供が大多数を占めています。
サバンナの様に草むらと砂漠地帯がまばらに点在する地域で暮らし、両者を行き交う姿がよく観察されるそうです。
ただ天敵が少ない分、その環境は非常に過酷です。
冬季は涼しく乾燥しており、夏季になれば最大気温が約50℃に達っしてしまうのです。
河川や湖沼が存在しないので、水分補給は植物から摂取するしかありません。
そのためスナネズミの身体は水代謝が少なく、体温を下げる方法を一切持ち合わせていないのです。
その様な生態を持つので、スナネズミの体温より数℃高い程度でも、一日を待たずに死んでしまいます。
最も好む温度帯は20〜28℃とされており、下回っても上回っても極端に代謝が落ち込み、代謝量・運動量共に極端に落ち込むのです。
因みにペット化されたスナネズミはそこまで極端に、環境変化に弱くはありません。
何故かと言うと、長年人の手により飼育されてきたスナネズミは、そのほとんどが近縁種と交雑しているからです。
個体によりけりですが、近縁種の図太さを受け継いだものが多く、遺伝学上も野生種と同一とは言い難い結果が出ています。
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スナネズミの人との関わりの歴史
スナネズミの人との関わりは、実験動物としてスタートしています。
全ての季節で繁殖する事ができ、多産なスナネズミは大学を始めとした研究機関において、非常に有用でした。
てんかん・アルツハイマー病・癌などの悪性腫瘍・老化現象の解明など、数々の科学的・生理学的実験に用いられています。
現在、実験動物・ペットとして人の手に持ち込まれスナネズミは、対戦直後のアメリカ人によるものです。
日本でも日中戦争時に実験動物として、国内に持ち込まれた例があるほどです。
ペット種は当初の目的の実験動物から始まったもので、そのための品種改良が盛んに行われました。
この様な意味でも、ペットのスナネズミと野生原種のスナネズミは大きく分けられます。
ライフサイクルの短さ・多産が重なると、容易に新しい品種を作出することが可能であり、ペット用の性格はもちろん、新しい色を持つスナネズミが次々に品種改良される事になります。
その後はご存知の通り、各ペットショップにも「小型で飼いやすい」という利点を売り文句にし、急速にペットとして親しまれ、現在に至るという訳です。
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まとめ
この様に普段何気なくペットショップにいるスナネズミは、かなり人間用に改良された品種という訳です。
集団生活を営む・好奇心が旺盛…この様な理由からも分かる様に、ペットとしては非常に優良種となります。
残念ながら人畜共通感染症を持ちやすい齧歯類は、輸入規制がかかる国が多く、今後のスナネズミの入荷は少なくなるのでは?と推測されています。