サンショウウオ類の特徴や飼育の基本は?費用や主な種類を紹介します

Snorkeling with Japanese Giant Salamanders in Japan | Big Fish Expeditions

今回紹介するサンショウウオ類は、綺麗な清流・涼やかな山岳地帯に暮らす生き物です。
海外種は有尾類の中でも唯一南半球に進出し、進化学の分野でも重要なポジションを占めています。

普段の暮らしの中であまり目にする機会はありませんが、井伏鱒二の『山椒魚』・魯山人が食した生き物・そして国の特別天然記念物である『オオサンショウウオ』として、ペット以外の分野でその名が広く知れ渡っています。

ところが、サンショウウオ類は意外にもペットとしての流通は少なく、名前の割に実物を見たことがない…そんな方が多い事でしょう。
実は意外なメジャー種がサンショウウオ類だった…そんな事もあるんです。

ペットとして、そして身近な生き物としての目線からサンショウウオ類について触れていきたいと思います。

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<目次>

サンショウウオ類の特徴とは?
サンショウウオ類の基本的な飼育方法
必要な用具やかかる費用は?
サンショウウオ類の主な種類について
まとめ

目次


サンショウウオ類の特徴とは?

出典:Amphibians and Reptiles of North Carolina タイガーサラマンダー




前書きでも説明しましたが、日本のサンショウウオ類と言えば真っ先に“オオサンショウウオ”が思い浮かぶ事でしょう。

世界最大の両生類である本種、動物園や水族館で一度は目にした方も多いのではありませんか?

ただオオサンショウウオは例外中の例外です。
近縁のチュウゴクオオサンショウウオ・ヘルベンダー(アメリカオオサンショウウオ)のみ極端に巨大な体型を持ちます。

陸棲種最大のサンショウウオ類はアメリカ大陸に生息する「タイガーサラマンダー」で、最大全長は30cmと言われますが大多数は20cm止まりです。

国内の他のサンショウウオ類はどれも10cm前後の小型種が占め、海外種もこれに倣う様にその大半が小型化しています。

サンショウウオ類は、とにかく動かず…そして湿度など周辺環境に依存する顕著な特徴を持ちます。
中には湿気に頼りきり、肺すら持たない「ムハイサラマンダー科」というサンショウウオ類も存在する程です。

ムハイサラマンダー科のサンショウウオ類の特徴は、肺がなく呼吸を皮膚と口腔に依存している点です。
サンショウウオ類の実に2/3を占めており、最も進化を遂げたサンショウウオ類とも言われています。

サンショウウオ類は体外受精を行いますが、この科のサンショウウオ類は体内受精を行うのが特徴です。
しかも陸上に産卵をし幼生ではなく幼体の形で直接発生するという、珍しい特徴を兼ね備えています。

この様にサンショウウオ類は肺呼吸だけでなく、生きるための呼吸を生息環境に依存する事が多くなります。

サンショウウオ類はイモリ類以上に耐暑性を持ちませんが、これもまた例外的に「ネッタイキノボリサンショウウオ科」というアマゾンのジャングルに住むサンショウウオ類もいます。

「オオミットサラマンダー」を代表種とするサンショウウオ類ですが、彼らは樹上生活を行い、カメレオンの様な伸縮する舌で昆虫などを器用に捕食します。

この様に両生類から爬虫類への進化を繋ぐミッシングリンクの様な特徴を持つ、興味深いサンショウウオ類も世界には存在するのです。

海外種から一旦離れて国内種に目を向けてみましょう。
オオサンショウウオ以外は小型種であり、生息域は全国各地津々浦々です。

国内のサンショウウオ類は、残念ながら開発事業や宅地造成、環境汚染によりその数は激減しています。

僅か10数年前に普通に売られていた「トウキョウサンショウウオ」でさえ、近年は“種の保存法”により捕獲・販売が禁止されてしまいました。

一見してイモリ類と見分けがつきにくいサンショウウオ類ですが、この様に多岐に渡る特徴を多く持つ、興味深い両生類・有尾類なんです。

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サンショウウオ類の基本的な飼育方法

Feeding time | Another shot of the Blue spotted salamander (… | Flickr
出典:flickr ミミズを捕食するサンショウウオ(ブルースポットサラマンダー)




どんな種でも例外がありサンショウウオ類も多分に漏れませんが、飼育の主体はやはり「冷やす事」が基本となります。

日本の酷暑は実は砂漠の気温と同じくらい体感温度が高く、サンショウウオ類を常に冷やさなければなりません。
平地や水田などで国産サンショウウオ類を目にしないのは、この様な理由があるからです。

サンショウウオ類は高温多湿下ではあっという間に☆になるので、基本的な飼育方法ではイモリ類より遥かに低温を保つ必要があります。

幸いにも人間がクーラーをかける気温帯26〜27℃程が、彼らの最適温度です。
夏場は飼い主も涼むためと割り切り、クーラーをかけ続けた方がいいでしょう。

ケージでの飼育方法ですが、脱走を許さず有害物質が含まれていなければ、あらゆるものが代替品になり得ます。

小型種が多く動きが活発ではないので、タッパーで飼育することすら可能です。

これを応用して、夏場の冷蔵庫に入れてしまうという手もあります。もちろん同居人の許可を取りましょう。

幸いにも有毒種はいないので、夏場のほんの1〜2ヶ月ほどチルドルームに入れておくと非常に便利です。

夏以外は普通に室内飼育ができるので、この方法が一番理想的ではないでしょうか?

サンショウウオ類は導入直後はビクビクしていますが、やがて慣れ始めるとあらゆる餌に食いつき始めます。

コオロギやハニーワーム・ワラジムシ等、売られている生き餌で問題ありませんが、長期飼育に挑むなら「肉食熱帯魚様フード」「カメの餌」などが総合栄養食としても、コスト面としても有用です。

慣れ始めは生き餌に餌をまぶし匂いを覚えてもらい、徐々にピンセットで挟み口元で揺らしてみて、食いつくのを辛抱強く待ってみて下さい。

床材はサンショウウオ類の特徴に合わせ、保湿性の良いものを選ぶか?頻繁な霧吹きで代替します。

何を思ってかは分かりませんが、時々水中に入る事もあるので、全身が入る様な水入れスペースも取り付けてあげます。
ケージ内の湿度も保たれるので一石二鳥でしょう。

そしてサンショウウオ類は土壌生物の上位捕食者に位置付けられます。
シェルターはいりませんが、落葉や流木などを使い落ち着ける環境を構築しましょう。

サンショウウオ類の基本的な飼育方法は以上の通りです。

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必要な用具やかかる費用は?

r/salamanders - Wild-Caught Salamander tips for an amphibian newbie?
出典:reddit 飼育環境例




かかる費用はペットとしては例外的に初期投資・継続費用が少額で済みます。

拾ってきた自然物でほぼ代用ができ、購入すべき用具は「ケージ」「床材」「水入れ」「餌」くらいです。

シェルターは落ち葉や流木を熱滅菌すれば流用でき、水入れなどは百均のタッパーで構いません。

寧ろ専用用具は軒並み高額であり、当のサンショウウオは代替品でも全く気に止めないので、かかる費用を無駄に費やす必要もないでしょう。

基本的に必要な用具は…

この5つで十分です。

継続的にかかる費用は、与える餌と夏場の電気代だけです。

ショップで購入できる各種サイズのフタホシ・ヨーロッパイエコやハニーワーム、ワラジムシなどを好んで食べてくれます。

参考までに、20年前にトウキョウサンショウウオを幼生から育てた際は、幼生には冷凍アカムシ・成体には熱帯魚の餌・亀の餌(レプトミン)を与えていました。

幸いにも田舎暮らしだったので、ミミズの幼体やワラジムシ・光に集まる昆虫類や、バッタなどの“グラスプランクトン”も入手できました。

とにかくサンショウウオ類は動きが緩慢なので、少し可哀想ですが生き餌は弱らせてから与えたものです。

この様にかかる費用を浮かせるのではなく、餌を採取する楽しみも同時に楽しめます。

注意点も全くなく非常に飼いやすい生き物でした。

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サンショウウオ類の主な種類について

Bolitoglossa dofleini.jpg
出典:Wikipedia 飼育最難関種“オオミットサラマンダー”




かの有名なウーパールーパーこと「メキシコサンショウウオ」も分類学者が揉めに揉め、イモリ類とサンショウウオ類を行ったり来たりしていますが、本項ではサンショウウオ類としてご紹介します。

サンショウウオ類の主な種類としては、最も身近なメジャー種です。

その一生を水中で暮らすので手間がかからず、サンショウウオ類の中で最も飼育が容易です。


北アメリカ大陸に生息する有尾類最大の陸棲種「タイガーサラマンダー」も飼育の容易さが抜きん出ているサンショウウオ類です。

絶食ではなく“過食”で死んでしまうほど貪欲であり、拒食とは一切無縁の生き物です。
夏場も工夫次第では、エアコンをかける必要もありません。

通常は20cm以下で成長が止まるので、中型種の飼育を始めたい方に強くオススメします。


先程説明した「オオミットサラマンダー」ですが、この種は大変曲者で長年サンショウウオ類の飼育に携わっているベテランでも、2〜3年ほど飼育できれば御の字という最難関種です。

何故か?キリフキの水がかかってしまうと、途端に尾を自切しすぐに死んでしまう厄介な性質を持っています。


国内代表種はなんといっても「オオサンショウウオ」でしょう。

大型のサンショウウオは他に2種類が確認され、それぞれが「チュウゴクオオサンショウウオ」「ヘルベンダー」と呼ばれてます。

その昔、各大陸が地続きであったという根拠とされており、各国で大切に保護されています。


国内小型種も忘れてはいけません。
地味な種類が多く人気も低いのですが、飼い込む程に味が出るサンショウウオ類です。

地域ごとに「止水性」「流水性」の繁殖形態を取り、それぞれ沼や池・山地の小川に産卵を行います。

何故その様な形を取るのか?明確な結論は出ていません。
国内種ですら、その様な奇妙な特徴を持つ…強いて言えば、そこがサンショウウオ類の魅力とも言えるでしょう。

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まとめ

一口にサンショウウオと言っても国内種ですら、驚くほどの特徴差があります。

外国種に至っては複雑すぎて、到底1記事にまとめる事さえできないほどです。

派手さには欠けますが、古くから日本人に親しまれているサンショウウオ。本記事を読んで興味を持った方は、空いた水槽に1匹飼いつけてみませんか?

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