エンゼルフィッシュが卵を食べる・落ちる…白い理由や全滅する要因について

熱帯魚入門種とも呼ばれている『エンゼルフィッシュ』。今回はその産卵にまつわるトラブルや失敗事例などについて説明していこうと思います。

飼育入門書などには熱帯魚飼育の入門魚と紹介される事の多い“エンゼルフィッシュ”ですが、とっつき易い反面…長期間に渡り飼い込むケースにおいては、意外にクセのある魚種でもあります。

成人男性の手の平大まで成長する上に、今回取り上げる『繁殖』については数々のトラブルが絶えません。

本記事ではエンゼルフィッシュの産卵・繁殖にまつわるトラブルや問題・改善点について、提起していこうと思います。

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目次

エンゼルフィッシュの卵が白いケース


エンゼルフィッシュを十分に育て上げ性成熟させると、写真の様な幅広の水草表面(アマゾンソードなど)やろ過機のパイプ……時には水槽の壁面など表面積の多い部分に卵を産み付けるケースがあります。

シクリッドの仲間であるエンゼルフィッシュは、雌雄仲良く産み付けた卵に新鮮な水を吹き付けたり、付着したごみなどを取りかいがいしく世話をします。

その際のトラブルとして卵が白いまま発生せず、水カビなどが付き正常な発育状況が見られない報告も見られます。

このトラブルの原因はかなり容易で、2つの要因が挙げられるでしょう。

1つは単純に死卵です。正常な発生が進めば卵は次第に透明になり、内部の胚の状況が容易に確認できます。

発生段階で卵自身が死んでしまう事で白くなることはよくあります。ただこれはかなり稀で、本来は死卵に発生した水カビ・腐敗菌などが受精卵に悪影響を及ぼすので、親魚が取り除いてしまう事がほとんどです。

2つ目はオスの放精が上手く行かず、未受精卵が残るケースとなります。

この場合も白くなるのですが、親魚の子育てが初めての場合だと経験不足のため、未受精卵を取り除けずそのまま白くなるということです。

当然ですがどちらも正常に孵化には到りませんが、基本的にオスメスのペアがかなり神経質に産み付けた卵を保育するので、無理に取り除かずそのままにしておいた方がベターでしょう。

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エンゼルフィッシュがなぜ卵を食べるのか?その対策

エンゼルフィッシュだけでなく他の熱帯魚も自ら産み付けた卵を食べてしまう事もあります。この行為を『食卵』といいます。

この食卵行為は単純にメス個体を単独飼育した際に起こり得ります。

また、健康な雌雄のペアでも産卵・育児中は相当神経質になり、何らかのストレスを感じると逃避行為として自ら産んだ卵を食べてしまいます。そのため人通りの多い玄関やリビングなどでは上手く行かないケースが多々あります。

同居魚がちょっかいを出したりテリトリーに侵入しても危険なので、繫殖を狙う場合はペアのみでの飼育がベストです。


そしてレアなケースになるのですが、産卵までが相性の良いペアも実際に存在します。

産み付けるまでは上手く行くのですが、その後の夫婦関係が上手く行かずオス・メス同士でいさかいが起こる状況もあります。その場合は残念ですがお互いのパートナーを変更するしか手立てはありません。

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エンゼルフィッシュが産み付けた卵が落ちる…その対策

 

エンゼルフィッシュの卵の脱落は、卵殻表面に付着糸があるのでそうそう起こることではありません。

考えられるケースでは上記写真の様にヒーター表面やろ過機の吸水・取水口間近に散乱してしまった場合です。

ろ過機の性能が良く循環する水量が多い場合……つまり水勢が強くなる様なろ過装置を使用している際は、水流により産み付けられた卵が剥がれ落ちてしまう場合もあります。

またヒーターに産み付ける際はほぼ100%卵が熱により死に絶えてしまうでしょう。考えられるケースはこの2通りです。

例外的にメス個体に十分な生殖能力が欠如している障がいも考えられますが、今回は割愛させて頂きます。

対策としてはそもそもの水流を弱くすることです。吸水口や排水口などにスポンジなどのアタッチメントを取り付ける対策方法もありますが、そもそもがエンゼルフィッシュは強い水流を好まず、流れの淀み部分に生息しています。

ヒーターの場合はカバーを付けるか、セパレーターで区切りエンゼルフィッシュの侵入自体を防いでください。

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エンゼルフィッシュの卵が全滅してしまう理由

折角産卵してくれたのに卵が全滅してしまった…長く熱帯魚飼育をしているとその様なケースにも出くわします。

まず『エンゼルフィッシュ』の産卵・子育てはオスメス…つまり夫婦仲睦まじく自分の赤ちゃんである卵塊・稚魚の子育てを行う魚です。かなり感情深く飼育者の顔を覚えるほどの魚なので、実はかなりの「気分屋」でもあるんです。

この点は人間と全く同じなのですが、パートナーになったオスやメスが粗暴・凶暴な性格だといわゆる“DV”・“家庭内暴力”を振るうケースが発生してしまいます。

産卵した卵を親魚が食べてしまったり、卵の世話もパートナー同士の喧嘩でおざなりになり、失敗に至ります。要は「繁殖に向いてない親魚」「性格に難ありの親魚」をペアリングさせると、卵をほったらかしで争い合い面倒を見ず、卵が全滅してしまうという訳です。

出典:Water World 成体同士の喧嘩

仲の良いペアでも繁殖や子育て中、交尾や卵を産み付けている際は、エンゼルフィッシュ自身がかなり無防備になる瞬間です。もちろん飼育下では天敵等に襲われる心配はないのですが、そこは野生の血が騒ぐようで、この際に他魚や飼育者などの人間が気になると、呆気なく育児放棄をしてしまいます。

繁殖期は普段懐いているようなエンゼルフィッシュでも、給餌以外の世話はせず遠くから見守ってあげて下さい。

前述した人通りの多い場所を避けるのはもちろんですが、水槽内掃除・無闇なレイアウトの変更・水流の強弱・頻繁なライトの点滅なども避けるようにします。特に初めての繁殖時は必要最低限の関わりに留めましょう。

24時間照明を付けていても良いです。とにかく環境が少しでも変化すると「育児放棄」や「食卵」に繋がり、当然ながら折角の卵も全滅してしまいます。

エンゼルフィッシュのケンカ


時々仲の良いペアでも繁殖経験が浅かったり、初産の場合はそもそもが未経験なので、卵に付着したごみや水カビ……そして未受精卵・死卵を適切に取り除けないケースがあります。

この場合は死卵から発生した病原菌やウイルス・水カビなどが、正常な受精卵にも悪影響を与えてしまいます。飼育者が取り除こうとすればストレスを感じ「育児放棄」「食卵」を行うので、残念ですが卵が全て死んでしまう可能性が極めて高くなります。

とにかく繁殖期は環境の急激な変化に親魚が対応できないので、遠くから見守る「放置飼育」を行うべきでしょう。

水槽の背部や両脇に黒いフィルムなどを貼ったり、水槽ランプを付けっぱなしにするなどとにかく「ストレスの軽減」に努めて下さい。

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まとめ

エンゼルフィッシュの産卵に関するトラブルについて深掘りしましたが、本来はかいがいしく雌雄で卵や稚魚の面倒を見る子煩悩な魚です。

しかも一度ペアを作り産卵経験を経ると、その後も頻繁に卵を産む多産な熱帯魚でもあります。

メスが発情し卵で腹部が膨らむ以外、外見からは雌雄差は見て取れないので、繫殖を狙うなら幼魚の内にある程度の個体数を混泳させて育て上げた方がいいでしょう。

ただかなり大きくなる魚なので、里親やショップなどの譲渡先をあらかじめ決めてからの繁殖を行いましょう。

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