エレファントノーズフィッシュという実に奇妙な魚をご存知ですか?
その名の通り象のような鼻がぶら下がっています。鼻?と思いがちですが、実はこれ吻部下部…つまり下唇が発達したものです。
その見た目以上の変わった内面も持つ本種!早速見て行きたいと思います。
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目次
〈目次〉
エレファントノーズフィッシュの脳構造 |
エレファントノーズフィッシュの種類と飼育方法 |
エレファントノーズフィッシュの混泳について |
エレファントノーズフィッシュの繁殖方法 |
まとめ |
エレファントノーズフィッシュの脳構造
エレファントノーズフィッシュは発電魚として知られています。一口に発電魚と言ってもデンキウナギ・デンキナマズの様に人体が感じる電圧は出しません。
尾部に発電期間を持ち、微弱な電流をレーダーの様に使い餌や障害物を避けているんです。
電磁場の有効範囲を見極めるためと言われますが、その脳はかなりの重さを持ち実に体重の約3〜4%を占めます。
これだけではピンと来ませんよね?
人間に例えると脳の総重量は平均で体重の2%ほどとなります。もしも人間と同じ体の大きさなら!?
エレファントノーズフィッシュの方が脳が重いんですよね。
また体全体における脳の必要酸素の割合は60%にもなります。人間は20%なのでこちらもかなりの差がありますよね?
これは変温動物である魚類にとっては例外中の例外なんです。
魚類・両生類・爬虫類は外温に体温が左右されるので、極力その代謝を抑えています。
その上で代謝の源である酸素の半分以上を脳に供給している訳です。
このためエレファントノーズフィッシュは魚類の中で、かなりの知力を持ち合わせると言われています。
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エレファントノーズフィッシュの種類と飼育方法
エレファントノーズフィッシュはモルミルス類の仲間です。この仲間は種の多様性があり、未だ学名さえ付けられない種もいます。
そんな中エレファントノーズフィッシュは例外で、古くからコンスタントに安価で流通しています。
全長は20cmほどの中型魚であり、ほぼ夜行性です。10cm前後の個体が売られていますが水槽内では殆ど成長しません。発電器官による電磁波で空間認識するため、水草水槽や複雑なレイアウトでも容易に飼育できます。
飼育経験から話しますが、40cm水槽で終生飼育可能でした。もちろん広いに越したことはありません。
熱帯魚用フードにはほぼ慣れませんでした。種々の餌を試しましたが、口には入れるものの吐き出してしまいます。
冷凍餌をメインにしましょう。特に冷凍赤虫は彼らの大好物です。
当時は冷凍餌も種類が乏しかったのですが、今はラインナップが増えています。赤虫ばかりですと確実に栄養が偏るので、ローテを組み各種バランスよく与えて下さい。
その吻部の小ささから、冷凍エビは食べれません。環形類やミジンコ等の動物性プランクトンがベストです。活イトメも大好物でしたね。
水質は中性がベストです。適温水温も27〜30℃程と一般的な飼育温度です。
モルミルスの仲間ではかなり丈夫な種で、壁掛け式フィルター&スポンジフィルターで問題ありませんでした。
ただ小まめな換水が功を得た部分もあるので、基本は上部式フィルターを使って下さい。
そして種類に関してですが、モルミルスの仲間は200種類は悠に超えます。
その中で国内購入可能な種を以下に列挙して行きます。
ホエールエレファント
下顎の突起がないため「ホエール」の名がつきました。こちらもよく見る種類です。
ダブルトランクエレファント
エレファントノーズフィッシュに似てますが、30cm超になる大型エレファントです。
ロングノーズエレファント
がっしりした体格と長めで力強いノーズを持ちます。全長もエレファントノーズフィッシュとほぼ同じです。
ドルフィンモルミルス
体型がイルカの様なのでこの名がつきました。こちらは更に大型種であり、全長50cmを超えます。
トランペット・モルミルス
いわゆるトランペットフィッシュの総称です。総じて100cm前後と巨大化します。
ジムナーカス
正式にはモルミルスの仲間ではありません。一科一属一種のモルミルスの近縁種です。150cmを超える巨大魚でその咬合力はヒーターを噛み砕く程です。
レーダーにかかると直ぐに攻撃してくるので、不用意に手は入れられません。
幼魚が根強く流通する人気種でもあります
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エレファントノーズフィッシュの混泳について
モルミルス同士の混泳は基本NGです。その電磁場レーダーが互いに混線し、方向感覚が狂い、餌を取ることにも支障が出るからです。エレファントノーズフィッシュは温和な性格もあいまり、複数飼育されていることが多いのですがなるべく単独飼育が良いでしょう。
多種とはかなり相性が良いです。
動きが早くエレファントノーズフィッシュに餌が回らない魚種や、攻撃性の強い魚はもちろん避けて下さい。
比較的小型のポリプテルス・セネガルやコリドラス類、生息域が被る小型のナイフフィッシュやテトラなどの小型魚など大人しい魚とならばほぼ問題ありません。
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エレファントノーズフィッシュの繁殖方法
国内での繁殖例は一切耳にしません。それほど繁殖は困難を極めます。
海外の論文を参考にご説明します。
まず外観からの雌雄判別はほぼ不可能です。成功例は極端に大きな120〜180cm水槽を用いています。
飼育水の電気伝導率が性成熟・繁殖のトリガーになる様です。
大学の実験室などで使われる“純水”が必要となります。特殊機器を用い全てのイオンを除去しているので、伝導率は0です。
予め水位をかなり低くし、徐々にその純水を足していくことで産卵・繁殖に持ち込めます。
自然界では雨季の際のスコールなどがこの環境を形づくると推測できます。産卵は数回ほど繰り返す様です。
ただ2〜3ヶ月ほどの長期間、少しづつ少しづつ純水を足していく必要があります。
その後親魚が保育するか、放ったらかしで孵化するのかは不明です。
ただ東南アジア辺りでは何故かブリード個体が出回るので、個人的にはかなり巨大な規模の施設が必要と感じます。
東南アジア諸国は熱帯魚産業が活発であり、その力の入れようや技術は世界トップクラスです。
家庭クラスでの繁殖ははっきり言うと不可能なのではないでしょうか?
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まとめ
今回ご紹介したエレファントノーズフィッシュ。各ショップでの目玉珍魚として今でもよく目にします。
かなり頭が良く、知的好奇心が垣間見える魚です。ぜひ飼育してみて下さい。