今回は代表的な封入魚である“エリスロミクロン”について取り上げてみます。
オスが放つ青みがかった体色がとても綺麗な魚ですが、風変わりな特徴と生活様式を持ち合わせます。
それでは早速、本題に入りましょう。
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目次
<目次>
エリスロミクロンとは? |
エリスロミクロンの飼育とその餌について |
エリスロミクロンの病気と水質について |
エリスロミクロンの繁殖と稚魚の育成方法 |
まとめ |
エリスロミクロンとは?
ミャンマーの固有種で、インレー湖及びその周辺の湖にのみ生息します。このインレー湖は石灰岩由来の水で形成されており、外界とは完全に孤立しています。
熱帯域ですが、標高900m程に位置するので水温は最大で25℃です。また石灰岩由来の弱アルカリ性の湖です。
この湖に住む固有種こそ“エリスロミクロン”です。
エリスロミクロンは正式名称”ダニオ・エリスロミクロン“と言いコイ科ゼブラダニオの仲間です。発見当初はミクロラスボラ属に分類されていたので、この名がつきました。
小型美麗種です。オスの発色がとにかく目立ち、ヤマメ・イワナなどの渓流魚に近い模様が入り、青白く光がかります。反対にメスはほぼ無地であり雌雄判別は容易です。
体長は3〜4cmと小柄な魚です。
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エリスロミクロンの飼育とその餌について
小型種なので水草水槽で他の魚と混泳させようかな…と考えがちですが、かなり特殊な環境下に身を置く魚です。
まず生息地のインレー湖は石灰岩由来の水質、つまり弱アルカリ性です。そのため飼育水は中性〜弱アルカリ性にしましょう。
水温は若干低めの21〜25℃を心掛けます。主生息地のインレー湖の標高が880mだからです。
その為夏場の高温対策が重要です。冷却ファンではまず対応できません。
水槽用クーラーを使うか?エアコンを用いるか?の2択となります。
そして性格は「最大限に臆病」です。このため隠れ家であるシェルター類・弱アルカリ性に対応する水草・サンゴ岩など適切な隠れ家を作らなければいけません。
玄関など人の出入りが激しい場所では呆気なくパニックに陥り、最悪水槽壁面などにぶつかる死亡例さえあります。
極力静かな場所に設置しましょう。
強い対流もストレスになります。水槽内の水の動きも最小限にとどめましょう。その上、綺麗な水を保たなくてはなりません。
このため上部式フィルターメインで、サブとして底面ろ過・スポンジフィルター・投げ込み式フィルターなどを併用します。
以上の事から混泳も実質不可能です。卵胎生メダカやアフリカンランプアイなど生活圏が被る魚も候補に上がりますが、ちょっとしたちょっかいを受けただけでも致命傷になります。
その希少さからも同種の複数飼育が一番無難でしょう。
餌やりにもコツがあります。まず人工飼料にはあまり餌付きません。イトメやブラインシュリンプなどの活餌メインで、各種冷凍餌を与えましょう。
臆病で食も細いので、きちんと飲み込めているか?その都度確認して下さい。
ごく稀に人工飼料を食べるケースもある様です。
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エリスロミクロンの病気と水質について
エリスロミクロンに取ってベストな水質を数値で表します。
pHは7.0〜8.0が最適です。ざっくりと弱アルカリ性と言ってはいますが、pH測定器などがあればpH調整液でこの値に合わせましょう。
硬度については適応範囲が広くなります。10〜25°dの軟水から非常な硬水まで適応しますので、考慮しなくても構いません。
既に述べた様に水温は25℃がデッドラインです。ただ寒さには強く20℃を下回る水温でも耐えてくれます。
罹患しやすい病気は「白点病」「マツカサ病」「コショウ病」などです。
小型魚にとってどの病気も命に関わります。
発症した際はまず3%程の塩浴で対処します。そこから徐々に濃度を増やす形です。
また20℃以下の水温にし病原体を不活性化させる事も出来ます。
塩浴や水温対応、両者ともエリスロミクロンのアルカリ・低温耐性が顕著ですので効果的です。多くはこの方法で治療できるでしょう。
とにかくか弱い魚ですので、薬浴は最終手段にして下さい。
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エリスロミクロンの繁殖と稚魚の育成方法
意外にも繁殖そのものは難しくはありません。
かなり特殊な環境で飼育しますが、それを維持し続ければ自然と発情します。
発情期のオスの発色は婚姻色と呼ばれるほど鮮やかなものになります。
雌の体も丸みを帯びてきますので、一つの目安として下さい。
繁殖は「たまたま出産」「いつの間にか出産」が多いです。
基本は粘着卵を数10個ほど水草に産みつけます。
ウィローモス類・ミクロソリウム・ハイグロフィラ・ヘアーグラスなどが弱アルカリ性に向く水草の代表種です。
これらを水槽内で育成し、卵を発見次第隔離します。
少し難しいのですが、発情のタイミングを見極め産卵用水槽に移す方法もあります。
この場合1週間ほど注視しましょう。それでも産卵の気配がなければ仕切り直します。
ただ環境の変化に非常に弱いので、余りお勧めはしません。
無事卵を発見・隔離したら3日ほどで孵化します。しばらくはヨークサックから栄養供給を受けるので、遊泳を始めたら餌やりをしましょう。
極小サイズなのでブラインシュリンプは口に入りません。
食べる様なら卵の黄身や稚魚用パウダーフード、それでもダメならゾウリムシ、インフゾリアを用います。
自分で湧かすのは高難易度です。店頭もしくはECサイトで発生キットが販売されています。
人工飼料が難しいエリスロミクロンは、費用はかさみますが、この方法が適しています。
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まとめ
エリスロミクロンの生息地ミャンマーはご存知の通り政局が不安定です。
昨今の状況下での輸入は厳しく、しばらく姿を消しかねません。
飼いたい方は見つけ次第悩まず購入しましょう。