全世界の海に30種類以上も生息する“クマノミ”の仲間。その中で最もメジャーな人気種が“カクレクマノミ”です。
国内で最も手に入れ易く、一見飼育しやすそうな本種です。ですが実は注意すべき点が多い魚なんです。
それでは詳しくご説明していきます。
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目次
〈目次〉
カクレクマノミの飼育難易度は? |
カクレクマノミとイソギンチャクの共生について |
カクレクマノミの混泳方法 |
カクレクマノミの繁殖方法 |
まとめ |
カクレクマノミの飼育難易度は?
クマノミの中で見れば、その飼育は容易な種類です。
海水魚全体から見れば「やや難しい」と言えるでしょう。
本種は広大な海域に生息します。共生相手であり命綱でもあるイソギンチャクは同種間では奪い合いになります。
生活の場はもちろん、産卵・繁殖もイソギンチャク周辺で行う本種です。ペアの縄張意識が過激なんです。
またイソギンチャクとの共生も絶妙なバランス下で成り立ちます。カクレクマノミは主にハタゴイソギンチャクを共生相手とします。
このハタゴイソギンチャクはカクレクマノミ以外の魚やエビ・カニ等の甲殻類を捕食することがあります。
もし何らかの理由でカクレクマノミが弱っていたり、病気に罹患した時には、イソギンチャクへの毒抗体が著しく落ち、その結果食べられしまう事さえあります。
他魚との混泳はこれらの点を強く気にかけて下さい。水槽内という限られた環境下のパワーバランスをうまく見極める眼が飼育者には必須です。
この混泳・共生問題がなければ飼育自体は非常に容易な種です。
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カクレクマノミとイソギンチャクの共生について
カクレクマノミと共生できるイソギンチャクは4種類で“ハタゴイソギンチャク”“センジュイソギンチャク”“シライトイソギンチャク”“サンゴイソギンチャク”です。
逆に共生不可能な種類は“タマイタダキイソギンチャク”“イボハタゴイソギンチャク”等です。
カクレクマノミが持つイソギンチャクへの毒耐性は先天的なものではありません。
イソギンチャクに幾度となく触れ、徐々にその毒耐性を粘膜内に取り入れて行きます。
その為この過程で犠牲になる個体もいる程です。
ショップで購入する際はきちんと毒耐性を獲得している個体かどうか確認して下さい。
ただ商用上はその鑑賞目的から、予めイソギンチャクとの共生水槽で販売されている場合がほとんどです。
ショップで慣れているイソギンチャクと共に購入しましょう。後述しますがその習性上、セット販売が最も安心かつ確実な購入方法です。
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カクレクマノミの混泳方法
繁殖の話と前後しますが、元々カクレクマノミは雄性先熟の雌雄同体魚です。
雌雄未分化の際は10匹単位の群れで生活します。その群れの中で1番体長が大きい個体がメスとなり、2番目に大きい個体がオスになります。
その他の個体は性的未分化のままです。
カクレクマノミはペアになるとペア以外の個体を排除します。群れの他個体は全て追い払われてしまいます。
従って一つの水槽に成魚1pr飼育の2匹しか同種混泳はできません。
多種には打って変わって驚く程寛容です。ですので様々な魚と混泳する事ができます。
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カクレクマノミの繁殖方法
繁殖に持ち込む際は他魚を隔離し、ペアのみの環境にします。
水温はやや高めの27〜28℃に設定し、比重は低めの1.021ほどに下げます。
そして栄養価の高い餌をふんだんに与えます。
生活サイクルを確立させる為、ライトは毎日12時間決まった時刻に消灯します。
ペアの成熟には初産かどうかでかなりの差が出ます。
繁殖経験のあるペアは数週間〜1ヶ月程で発情しますが、初産の場合は2〜3年掛かる場合があります。
気長に待ち続けましょう。
オスは成熟すると体を震わせ求愛行動を取ります。
メスは腹部が大きくなり、抱卵が伺えます。
またオスは産卵床などを仕切りにクリーニングし始めます。
この行為が長期に渡り見られるようになると、メスはイソギンチャク付近のライブロック、時には水槽壁面などに100〜300個ほどの卵を規則正しく産み付けます。
その後オスは孵化するまで卵を守り続けます。
この際飼育者側は水流に変化をつけましょう。卵が微かに揺れるくらいの、強くも弱くもない水の流れが求められます。
卵は産卵から3〜4日ほどで黒っぽく変色し、1週間〜10日程で孵化します。
カクレクマノミの孵化方法はかなり特殊で、光が切っ掛けとなります。
外界の光量に孵化間際の稚魚は敏感です。余りに明る過ぎると孵化できず死んでしまいます。
孵化間際は照明を落とし暗闇にして下さい。
タイミングが合えば一斉に孵化します。
稚魚は速やかに別水槽に隔離します。
この際アミはNGです。ちょっとした刺激ですぐ稚魚は死んでしまいます。
小さなケースを用います。追い込むのではなく自然に稚魚が入るように誘導しましょう。
とにかく稚魚はデリケートです。
光にも弱く強い光量は大敵です。特に横からの光に敏感でそれだけで死んでしまいます。稚魚用水槽の壁面には遮光フィルムを貼りましょう。
孵化後の稚魚は2〜3日間ヨークサックで栄養を摂るので給餌はしません。
初期の体長は3mmと極小なので、初期餌はワムシを使います。
ある程度大きくなったらアルテミアに切り替えましょう。
孵化から1〜2週間もしたら親魚と同じような模様や発色が出始めます。
この時期も死亡し易いので、綺麗な水質、弱いエアレーション・水流、残餌の徹底除去に努めて下さい。
この様に要所要所のコツを掴めば個人レベルでの繁殖も十分可能です。
ただカクレクマノミの繁殖は一貫し“デリケート”の一言に尽きます。
神経質過ぎて丁度良いくらいなんですね。
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まとめ
今回はカクレクマノミに絞りその生態全般をご紹介しました。
神経質な部分がありますが、映画のモデルになるのも納得な!実に可愛らしい魚ですよ。